ぎゃあああああああ!!!
「ぎゃあああああああ!!!」
夜更けの兵舎に、イワーヌシュカの悲鳴が響き渡った。
彼は布団の中で猫を抱きしめながら眠りについていた。温かく、柔らかく、心地よい時間。猫は丸くなり、喉をゴロゴロと鳴らしながらすやすやと眠っていたはずだった。
だが——
イワーヌシュカは夢の中で味わったのと同じ、いや、それ以上の激痛を下半身に感じた。飛び起きると、そこには己のズボンに潜り込んだ小さな猫。そして、その牙が、爪が…… まさしく彼の大事な部分に食いこんでいた。
「離せ!!離せえええええ!!!」
イワーヌシュカは必死に猫を引き剥がそうとするが、猫はなぜか離れようとしない。
「いったああああああ!!やめろおおお!!!」
数秒後、ようやく猫は口を放し、何事もなかったかのように「にゃーん」と鳴いた。
最悪だ。
イワーヌシュカは布団の上で悶絶しながら、夢とまったく同じ展開になってしまったことを理解した。これは神の試練なのか? それとも猫に嫌われたのか? いや、これは愛の神の祝福……?
痛みに耐えながら混乱するイワーヌシュカだったが、悲劇はこれで終わりではなかった。
「貴様ァ!!!」
兵舎の扉が勢いよく開き、鬼の形相をした上官が姿を現した。
「この夜中に何を喚き散らしているかと思えば、貴様——」
上官の目がイワーヌシュカの布団の中からひょっこり顔を出した猫に向けられる。
「……貴様、軍の規則を知っているな?」
「い、いや、これは……その……」
「動物の持ち込みは禁止だと言ったよなァ!?」
怒号が響き渡る。兵舎の他の兵士たちも起き出し、状況を把握した瞬間に爆笑し始めた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 俺はただ、猫を……」
「言い訳するなああああ!!」
こうしてイワーヌシュカは、猫にちんちんを噛まれた挙句、上官にこっぴどく怒られることとなった。
猫はというと、上官の怒号などまったく意に介さず、のんびりと毛づくろいをしていた。まるで「自分には関係ない」と言わんばかりに。