相談しよう
次の日。
イワーヌシュカは医務室の扉を開ける。静かな空気が漂っていた。
軍医のニニアン・プレヴィンが忙しそうに薬草を混ぜているのを見て、イワーヌシュカは少し躊躇したが、心の中で自分を奮い立たせた。
「ドクター、ちょっと相談したいことがあるんだ。」
ニニアンは顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべる。彼は細身の体にふんわりとした白い制服をまとい、長いアンバー色の髪を大きな三つ編みにして背で束ねていた。穏やかで誠実で、優しいニニアンはいつでもだれに対しても柔らかい態度と笑顔で接する。
「どうしました、イワーヌシュカ?具合でも悪いのですか?」
イワーヌシュカは顔を赤くしながら、思い切って話し始めた。
「実は…最近、奇妙な夢を見たんだ。猫に、・・・・・・ちんちんを噛まれるっていう夢なんだ。」
ニニアンは驚くことなく、静かにイワーヌシュカの話を聞いた。彼の眉ひとつ動かさず、目線をそらさずに。
「それが怖くてさ、目が覚めたときには心臓がバクバクして、でも猫なんていなかった。夢の中で、寒そうにしてた猫を部屋に入れて、布団の中で暖めていたんだ。でも、なぜかズボンに入り込んで、その…」
イワーヌシュカは言葉を詰まらせ、顔をさらに赤らめた。ニニアンは少しの間沈黙し、薬草を混せる手をとめて言った。
「そういう夢を見ること自体は、特に珍しいことではないですよ。心が疲れていたり、ストレスが溜まっていると、夢の中で奇妙なことが起こることがある。君の身体や心に何か負担がかかっているのかもしれないですね。」
イワーヌシュカは少し安心した様子でうなずいた。
「それなら…しばらく様子を見てみるよ。」
ニニアンは微笑んで薬を煎じ続けながら言った。
「あまり深刻に考えすぎないほうがいいでしょう。身体と心の状態は連動しているから、焦らずリラックスして過ごしてください。」
イワーヌシュカはニニアンの言葉に少し気が楽になったが、心の中で何かが引っかかっているのを感じていた。