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ここに六つの聖女を立て、お前を殺そう。国王。  作者: 夜乃 凛
第一章 追放すなわち無能
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元聖女たちの思想

 フランシスカとホウオウは、シュクレのエスコートの元、シュクレ率いる中立軍のアジトへ向かった。フランシスカとホウオウは、一旦どんな景色が広がっているのだろう、と思いながら。行く道は荒野だったし、争いを連想させるようだった。ちなみに、シュクレは馬から降りて歩いていた。フランシスカが馬に乗るように促されたが、フランシスカはそれを断った。


 フランシスカとホウオウに、緊張の色が無かったわけではない。むしろ、緊張しているといっていいだろう。シュクレは害の無さそうな人間に見えたが、行く先がアジトだと言うのだから、衝突があるかもしれない。そう思っていた。

 二人はとにかく、周りの様子を観察していた。正直に言えば、ひどい風景。木々は折れているし、地面は砂利まみれの灰色。空は暗雲立ち込めている。地平は続いているものの、その先にあるのは、闇しかなさそうだった。


「お二人とも、どうかしましたか?」


 シュクレがフランシスカとホウオウの様子に気が付き、話しかけた。

 フランシスカが応じる。


「いえ、なんでも。風景が、少し殺風景だと感じまして。むしろ、酷い」


「ああ、そういうことですか。ここでは少し前に、元聖女たちが、戦いをしていましてね。その名残ですよ。おそらく、アクドラの歴史書にも乗るような戦いだったと思います」


「戦いで、こんな……元聖女たちは、そんなに強いのですか?」


「強いです。私など、造作もなく殺されるでしょう。特に厄介なのが、第一聖女のクリアラです。この荒地は、ほぼクリアラが作ったといっても過言ではありません。クリアラさえいなければ、もう少し、皆の気持ちも落ち着くと思うのですが……戦う思想はあるようですがね」


「どのような」


「クリアラがアクドラを制すれば、国王はその力を認め、再び聖女に戻してくれる、そういう考えです」


「陳腐」


 フランシスカは言い放った。シュクレはクスっと笑った。


「そう。しかし、そういう陳腐さが、厄介になることもあるのです」


 その会話に、ホウオウ割り込んだ。


「クリアラってやつが悪い事はわかったが、誰が、その聖女と戦っていたんだ?戦いというからには、二勢力いないと、成立しない」


「その通りです。クリアラと戦っていたのは、第二聖女ナイムです。ナイムは、好き嫌いの別れる人種の人間だと思います。私は好きですがね。思想が」


「ナイムは、どんな思想を?」


「自分が正しいと思ったことをやる。この一点張りです」


「お会いしたいですね」


 フランシスカは微笑んだ。正しいと思っていることが間違っている場合、大きな問題だが、それでも、正直で普通な人間に思えたからだ。

 元聖女たちの話をしながら、三人はアジトへと向かった。


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