エスコート?
「具体的に、共闘というのは?」
ホウオウが問いかけた。警戒心を見せている。
その問いに対し、シュクレは紳士的に振舞った。
「ここで話をするというのも、困るでしょう。場所を変えましょう。この近辺には、我々のアジトがあります。アジトは複数所持しており、元聖女たちには見つからずに済むはずです」
「私も、元聖女ですがね」
「失礼しました、フランシスカ嬢。元聖女でも、聖女でも、人格に変わりはありませんよ」
「ありがとうございます」
フランシスカは一礼した。ホウオウは考え込む様子を見せている。国王から、フランシスカは拠点を貰ったのだから、早くそこに行くべきではないかと。しかし、このシュクレという男性から情報を得るのも、善手と考えられる。
「私、シュクレが直接案内致します。フランシスカ嬢」
シュクレが、フランシスカに、ぐっと近寄った。フランシスカは驚いて、体制を崩した。
「きゃっ」
「嬢!」
シュクレが咄嗟に、フランシスカを抱きとめた。かろうじて、フランシスカは倒れずに済んだ。二人の顔が近い。
「申し訳ありません。驚かせてしまった」
「い、いえ。私の不注意です」
フランシスカは、顔を少し赤くして、俯いた。
首を振る。自分は、国に反旗を翻す心意気なのだ。戸惑っている場合ではない。
持ち直す。
「アジトへのお招き、お受けいたします。もし危機を感じれば、逃げるかもしれませんが」
「このような可愛い兎が、逃げ切れるとは思えませぬが」
「む……」
困るフランシスカ。どうにも、ペースを乱される。あまり。こういうやり取りは慣れていないのだ。
その間、ホウオウは冷静に考え事をしていた。