シュクレ・ロアンターズ
フランシスカとホウオウは、第五聖地アクドラへ続く道を、歩いていた。辺りは半場荒野で、手入れもされていない。砂利が転がっている。
二人の思想には、わずかな差があった。徹底不戦のフランシスカに対して、ホウオウは、本当にいざ危険ととなったら、自らを犠牲にしてでも、フランシスカだけは生き残らせるつもりだった。
歩く二人。雲行きは怪しい。
第五聖地アクドラ。元聖女五人の争う、歪んだ国。その中の僻地にて。
金髪の男性が、書類を読んでいた。部屋は明るくて綺麗だったし、白いカーテンなどもあり、国の荒れた状態とは、対照的だった。
金髪の男性は、恰好良いというより、美しかった。まるで陶芸品のように、綺麗な顔立ちをしていたのである。
「ふむ」
顎に手を当てる、金髪の男性。彼の名はシュクレ・ロアンターズという。
彼が呼んでいたのは、また新たに、追放された聖女がやってくるという、国からの情報。第六の聖女、フランシスカ。その到来が近く、シュクレは何を思うか。
「フランシスカ殿が、追放か……やはり、無能の国王のようだな。私が内政に携わりたいところだが……あの国王は許さないだろうな」
呆れ顔のシュクレ。彼は、聖女の追放を良く思っていない。フランシスカのいた国の国王を、無能だと思っている。
「そもそも、非難するなら、最初から役目など与えなければ良い」
そう呟いて、紅茶を飲むシュクレ。彼の頭の中には、構想があった。
アクドラの元聖女たちで、反乱を起こす。その構想は、フランシスカの構想と似ているところがあった。しかし、連絡を取っていないので、両者の気持ちは伝わっていない。
「フランシスカ殿は、性格の長けたお方……そうだな、ここで私がしなければならないことは……」
シュクレはフッと笑った。
「フランシスカ殿のエスコート」




