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ここに六つの聖女を立て、お前を殺そう。国王。  作者: 夜乃 凛
第一章 追放すなわち無能
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私と死んでくれないかしら?

現在。フランシスカも、ようやくコーヒーを口にした。苦い味である。最後の休息かと思うと、自然と美味しくなる。


「落ち着いたか?」


 ホウオウがコーヒーを飲みながら尋ねた。やはり、主の心境が心配の様だ。


「ありがとう、ホウオウ。そうね……やっぱり、敵だらけの死地に、赴くとなると、緊張する」


「守り抜くが……そうだな、ちょっと緊張しているくらいの方が、いいのかもしれない」


「少しだけ、生き抜くための作戦が、無いわけでもないのよ」


「ほう?」


 ホウオウは首を傾げた。興味深げである。


「えっとね、五人の元聖女が、いがみあっているんでしょう?だったら、追放されたという事情は、みんな共通しているはず。だったら、聖女でチームを組んで、あの国王に、反旗を翻せないのかな、って」


「なるほど。しかし、理想論じゃないか?五人の元聖女は、性格もバラバラだと聞くぞ?」


「それもそう。でも、五人とも生きているってことは、どの聖女も、相手も攻めあぐねているってことでしょう?戦力が拮抗している。多分……私を狙ってくるんじゃないかと思うのよ。追放された、六人目の聖女の私を。私を抱え込めば、自分たちの戦力が上がるのだから」


「逆に、早めに芽を潰そうとして、速攻で私たちを殺しにきたら、どうする?」


「諦める」


 フランシスカは、ホウオウの方を向いたまま、凛とした表情で言い放った。その言葉は、一縷の迷いもないように聞こえた。


「何もせずに、朽ち果てるというのか?そんなことはさせない」


「何もしないというのは、少し違うわ。『諦める』という行動をするのよ。これは、とても勇気がいること。何故かって、諦めていれば、殺されてしまうのだから。それでもなお、諦める。徹底的に、戦わない意志を見せるの。そうすれば、相手の心も動くかもしれない。それくらいの覚悟が無ければ、仲良しでいましょうなんて、都合のいい事は言えないわ」


「……」


 ホウオウは腕を組んで、黙り込んだ。不満そうである。

 そして、口を開く。


「賛成出来ない。貴女を見殺しには出来ない」


「そう……じゃあ、ここで別れた方がいい。私は、最善の策と信じているから」


「意見は曲げないか。じゃあ、これなら、いい?」


「なに?」


「心中」


「いいわ。一緒に死んで。ホウオウ」


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