ディーク襲来
食事は大騒ぎだった。念願のフランシスカとの合流を果たした兵士達の士気は最高潮。さて、今後どうするか、という重要な局面で、フランシスカの元にテレパスが届いた。マリアンヌの紫水晶である。
その内容。
『フランシスカ様、第四聖女ディークが、私たちの勢力を狙っています。密偵に調べさせましたが、赤い牙と繋がっているようです。そちらからの声は届かないので、至急援護をください』
フランシスカも流石に焦った。マリアンヌが聖女に狙われているということもあったし、その上、赤い牙も関連している。急いでマリアンヌを助けに行かなければ。そう思った。本来、長旅をしたのだから疲れているフランシスカだったが、マリアンヌへの恩義を忘れず、自分の疲れも顧みず、マリアンヌ救出へと動いた。
しかし、長旅をしたのはフランシスカだけではない。彼女は、ホウオウとシュクレを気にかけた。
「ホウオウ、シュクレ。マリアンヌが狙われています。私はすぐにでも彼女の元へ向かいます。兵士達もついてきてくれるでしょう。ホウオウにも、無理を言います。私についてきて。ただ……シュクレに強要はしません。あなたは本来、無関係ですから」
「行きますよ。この大地が平和になるのであれば、なんでもやります。アジトで死んでしまった仲間たちも、報われない……」
そのシュクレの言葉には、赤い牙への敵意が感じられた。
「私は、食事を摂らせてもらったから、問題ない。そんなに軟弱には出来ていない」
ホウオウは余裕そうだった。彼女の事だから、フランシスカに迷惑をかけないように振舞っているのかもしれないが、元々、鍛え上げられた体力があるのは事実である。
「ありがとう、二人とも。そうと決まれば、早くここを立ちましょう。兵士達の準備は万全のはず。我々が急いで支度をして、それから出発します。我々の兵が敵だとマリアンヌに勘違いされては困るので、マリアンヌの護衛兵には、先にマリアンヌの元へ急いでもらいます。彼らも、主の消息が心配でしょう。貴方達、先に向かいますか?」
フランシスカがマリアンヌの護衛兵に向かって、呼びかけた。答えは全会一致でイエス。当たり前である。
「マリアンヌ様の元へ向かいます。フランシスカ様、くれぐれもお気をつけて」
そう告げた護衛兵は、フランシスカ達の元を、足早に去った。焦っているようにも見えた。主が危ないのだから、当然か。それを受け、フランシスカ達も急いだ。
「総員!第五聖女マリアンヌの援護に回る!続け!」




