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ここに六つの聖女を立て、お前を殺そう。国王。  作者: 夜乃 凛
第一章 追放すなわち無能
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『見ただけで殺す』

 シュクレの言葉を、フランシスカとホウオウが聞いていた。驚きの表情である。


「ホウオウが、勝てない?」


 フランシスカが表情をそのままに言った。


「そうです。第二聖女ナイムは、剣豪です」


「しかし、ホウオウの腕前は見ましたよね?この子が負けるなど、考えられません。強敵なのはわかるとしても」


「ナイムは、強力な術を持っています。何か、発動の代償があるようですが……。恐ろしい剣術です。『認識した相手を殺すことが出来る』、そういう剣豪です。フランシスカ殿も、何か道具を持っていますよね?ナイムも持っているのです」


「視界に入った時点で、切り殺されるということか?」


 ホウオウの表情が険しい。


「はい。確定事項ではありませんが、そういう情報があります。ナイムの剣がある故に、ホウオウ殿の実力でも、殺し合いでは勝つことが出来ません」


「ふむ」


 ホウオウは腕を組んだ。戦闘をいくつか、脳内でシミュレーションしている。フランシスカも考えていた。


「それは、逆に」


 フランシスカが左手の指を上げた。


「ナイムは、人を殺してしまう呪いにかかっている。そう認識出来ませんか?」


「ふむ?」


 シュクレが首を傾げた。


「認識した相手を殺せるのであれば、仲間すらも殺せるということになります。例えば、殺す気はなくても、仲間にイラついてしまった時、ふと、殺してしまう。そんな可能性がある。それは、多大な精神的負担……ナイムの身になってみれば、その剣、呪いかもしれません」


「なるほど。それで?」


「まずは領地に向かうのが先ですが、ナイムとの交渉の余地はあると思います。それは私の持っている聖魔の石が、ナイムの」


「待て」


 語るフランシスカをホウオウが制止した。

 フランシスカも気づいた。背筋がピリリとした。


「どうしました?」


 シュクレが疑問そうに言った。


「聖魔の石の情報は明かせない。例えシュクレでも、我々はまだ知り合ったばかり。ここで大事なカードを切るわけにはいかない」


 ホウオウがフランシスカの代わりに言った。

 しかし、シュクレは頷いた。


「賢明な判断だと思います。私が貴女達と同じ立場だったら、同じことを選択するでしょう。身を守るために、切り札は温存しておくべきです。聖魔の石という物があるということだけ、覚えておきます」


「察して頂いて、感謝します」


 フランシスカが頭を下げた。


「構いません。さあ、歩みを進めましょう」


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