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ここに六つの聖女を立て、お前を殺そう。国王。  作者: 夜乃 凛
第一章 追放すなわち無能
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岩陰のアジト

 シュクレを筆頭に、三人はシュクレの言うアジトに到着した。パッと見た感じ、ただの岩の集まりにしか見えないが、その岩の中に、ひそやかにアジトへの入口があった。

 シュクレは入口に手を差し伸べた。


「ここが、アジトになります。何人か在席しているでしょう。この空間でなら、ゆっくり話が出来ると思います」


 シュクレが言った。それに対して、フランシスカが応じる。


「ご案内ありがとうございます。では、遠慮なく入らせていただきます」


 その言葉に対して、シュクレは目を細めた。そして語る。


「罠の可能性を、お疑いにならないのですか?」


「それはありません」


 フランシスカが即答した。


「む……どうしてですか?中に入れば、まさに洞窟に逃げ込んだ兎のようなもの。殺されるかもしれない。信じる心、ですか?」


「いいえ。殺されるなら、最初に出会ったときに殺されているはずです。あそこには、人がいなかったのですから、始末するのは容易なこと。しかし、それをしなかった。そこがポイントの一つです。加えて……最初から、取る行動は、決めていましたので」


「ほう」


 シュクレは面白そうに微笑んだ。なるほど、流石フランシスカ嬢、と。


「早く入った方が良いと思うのだが」


 ホウオウが言った。周りを見ている。視界に敵はいない。


「ホウオウ嬢の言う通りですね。覚悟が決まっているのでしたら、さっと入ってしまいましょう」


「ええ」


 三人は、アジトの中に潜入した。


 岩に隠された道を頼りに、三人は下って行った。道の周りは、岩だらけである。そんな狭い通路を進んでいくと、やがて木製のドアが見えてきた。どうやら、そこがアジトの様である。

 シュクレがさっとそのドアの前に立ち、ドアを『7回』ノックした。

 フランシスカとホウオウはそれを見ている。なるほど、合図のようなものか、と。おそらく、ノックする回数で、ドアを開けるべきか、確かめているのだろうと。

 シュクレがしばらく待っていると、ドアの向こうから物音がした。キィ、という音を立てて、ドアがゆっくりと開き始める。

 シュクレとフランシスカは立っていた。だが、ホウオウ。


「血の匂い!!」


 ホウオウの声に、シュクレとフランシスカの背筋が凍った。そして既に、ホウオウは剣を引き抜いている。

 ドアが開いた。白装束の男が、斧を振りかざして、殺しにかかってきている!

 ホウオウが一瞬で一閃。フランシスカに向けられた攻撃を、斧ごと弾いた。


「フランシスカを連れて逃げろ!!」


 シュクレに指示するホウオウ。


「それは悪手だ!!」


 シュクレが叫んだ。アジトの中に侵入されているのだから、出口で敵が待ち構えている可能性を考慮したからだ。

 一番フリーなのが、フランシスカ。彼女は一瞬で考えた。


「中に突入しましょう!!」


 そう言い放った。その思考は、まず、挟み撃ちにされてる可能性が高い。通路では挟撃される。ならば、どちらかの道に進むしかない。部屋の中か、外。部屋の中を制圧出来れば、立てこもることが出来る。そして、ホウオウなら突破してくれるという、信頼。

 ホウオウはフランシスカの忠実な部下。すぐに、その判断に従った。

 先頭を突っ切って、部屋に突入したホウオウ。

 すぐに周りを観察。部屋の広さなどどうでもいい。

 敵。敵を視認。

 死体が転がっている。アジトの人々だろう。

 斧を持っている戦士が四人。

 すぐさま表情を確認。

 焦っている。隙がある。

 しかし、問題。無関係の人物がいる可能性がある。


「シュクレ!!こいつら全員敵か!?」


「敵だ!!」


 念を押して確認。これで遠慮なく殺せる。

 ホウオウは、先ほど斧を弾き返した戦士の、足を刺した。そして、女の子ならぬ怪力で、そいつの頭を掴んだ。


「襲ってくればこいつを殺す」


 四人の戦士に向かって言い放った。だが、斧を構え始めている。仲間を見捨てるつもりらしい。


「非情だな」


 ホウオウは、掴んでいる戦士を、空中にポイと投げた。

 四人の戦士が、釣られて、空中に浮いた仲間を見た。

 そして、それが地面に落下した時、

 四人の戦士の首は、ホウオウの剣によって切り落とされていた。

 ホウオウが剣を仕舞う。


「雑魚が」


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