追放されし聖女、聖地に散るや
「フランシスカ、貴様を極刑に処す。永遠に罰を受けよ」
光の差す、大聖堂。その中で、フランシスカという聖女が、叱責されていた。
フランシスカは弁明している。
「お待ちください!確かに、私は、国のためにならない存在かもしれません。ただ、自分なりに、出来ることをやり、聖魔の石に、聖女の祈りを……」
「たわけが!何が聖魔の石だ!なんの役にもたたん。我が国の内政は、混乱しているだけではないか。国を守れず、たかが石ころにすがり、何様のつもりだ!貴様には、罰を受けてもらう。第五聖地……アクドラに追放する。あの、かつての聖女達がひしめく、あの場所にな。無能には無能の扱いがある。ゴミクズが。まともに役目も全う出来ない。クズ。生きているだけのクズ。恥ずかしくないのか?ゴミが。死ね。貴様のようなクズがいるから、世の中は良くならない。お前のような存在は、さっさと消えるがいい。クズ。クズ。どこまでもクズ」
語っているのは国王。金の冠が、いかにも似合っている。
「アクドラ!?あそこは、死地では……」
「そうだ。あの死地で、息絶えるが良い。もう、お前に用はない。一日くらいなら、くれてやる。精々、準備を整えて、死地に出向くのだな」
「お待ちください!私は、私の出来る精一杯を……」
「意見など求めていない!」
そう言って、国王は、フランシスカの部屋から出ていった。
そんなやり取りがあり、聖女フランシスカは、溜息をついていた。
無理もない。第五聖地アクドラとは、かつてに聖女達が土地の名誉の覇権を賭けて、戦っている場所なのだ。そんな所に、聖女であるフランシスカが赴けば、敵視されることは間違いない。フランシスカは戦うつもりなど毛頭なく、ただ、国に呆れていた。聖魔の石の力は、とても強いものなのに、何故、わかってもらえないのかと。
覚悟を決めるしかなかった。アクドラに向かうのは、もう仕方がない。元聖女たちの争いに巻き込まれても、仕方がない。
だが、ただ倒れるわけにもいかない。現状を、国の内政をよくわかっていない、あの国王に、復讐がしたかった。だから、考えた。もしかしたら、アクドラにて、国に反旗を翻し、よりよき平和を作ることが出来るのではないかと。
フランシスカは覚悟を決めた。彼女が持っているものといえば、国王から、使えないと烙印を押された、聖魔の石。それくらいだ。仲間もいない。国王に反対するものなど、いなかったのだ。ひとりぼっち。良くしてくれた侍女も、屋敷の者たちも、フランシスカを見捨てた。
追放。それが、現実だった。
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