1話
ローレンシア大陸最南端の半島に位置するスフィアナ連邦はこれまで歴史の表舞台に出てくる事は殆ど無かった。
かつて大陸の南を支配していた巨大国家、アルトア王国史においてレンフィールド辺境伯が統治していたレンフィールド辺境伯領が王国歴975年に当時の王国内部の政変で独立したくらいがこの地が歴史に名が出てきた数少ない出来事である。
そもそもスフィアナ連邦が位置する半島はその根本付近に大陸南北を分断する山脈が聳え立っており、南北の行き来が非常に不便な場所なのだ。
その為、アルトア王国はこの不便で統治にに困る地をレンフィールド辺境伯に押し付けて独立させたと言われている。
最も王国歴987年に王国は滅亡し、王国領はかつての領主達が支配する国家が乱立する群雄割拠状態となるので独立させられたレンフィールド拍にとっては準備期間が出来たので良かったと言われている。
なにせ群雄割拠時代の混乱をレンフィールド伯領改め、スフィアナ王国は大陸を東西に分断する山脈のお陰で殆ど受ける事なく、逆に海路を利用して様々な物資を各国に売り付けて国家形成の資金にしているからである。
最もその後、旧アルトア王国内での混乱は時が経つに連れてある程度整理され、混乱による特需も緩やかに終わりをむかえたが、この頃になるとスフィアナ王国はかなり発展していた。
ただ、そのように発展すると当然のように侵略の矛先を向けている国家も多々存在したのだが、防衛に有利な地形的特性とそれによる海軍力の強化により複数回による侵攻をスフィアナは撃退していた。
しかし、スフィアナ自体は特に軍事国家でもなく、軍事に割くリソースはその時代の国家の中でも非常に少なく、防衛の為の最低限の戦力しかなかった。
それは侵攻を受けても特に変わる事もなく、他国と比べても少ない兵力をその地理的特性で補っている状態が長く続いた。
最も、その分のリソースは経済発展や国力増加に使われており、国力増加に比例して軍事力も増強されてたので軍部も特に大きな不満などは無く、それが反乱が多かった時代にスフィアナ軍が反乱を起こさなかった原因でもある。
もちろん反乱が明るみになる前に秘密裏に処理される事もあったのだが。