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シンデレラ奇譚  作者: 多部 好香
サンドリヨンは向こう三軒のずっと先

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16/27

サンドリヨンは向こう三軒のずっと先 幕間

 王子は煌びやかな景色にうんざりしておりました。

 国中の娘を招待したパーティーには沢山の美しく着飾った娘達がやって来ます。

 王と王妃が最初に手を取り、絢爛なパーティーが始まっても王子は席から動きません。

 どれほど時間が経ったのか。

 にわかに城の入口が騒がしくなりました。


 ガラスの靴の踵を高らかに響かせて、輝くドレスを纏った美しい娘が、こちらに歩いて来るではありませんか。 

 ああ! なんて美しい人なんだ!


 彼女を一目見た王子は、早鐘のように高鳴る胸の導くままに立ち上がると、恭しく膝を付き娘をダンスに誘いました。

 一曲、二曲、曲を重ねる事に、選ばれない娘たちのひそひそ声や、ついには貴族達の困惑混じりのざわ付きが耳に付きますが、熱に浮かされたような王子は、夢中で娘の手を取りいつまでも踊り続けておりました。


 お城の鐘が零時を告げます。


 ああ! 大変!

 娘は悲鳴を上げると王子の手を振り切り、鐘が鳴り響く中、城の出口へ駆け出しました。

 そうして後には階段にぽつんと残されたガラスの靴。

 王子は、彼女の落としたガラスの靴を手に言いました。

「この靴にぴったり合う娘を探し出し、私の妃にする」


 王子は家臣を引き連れて、国中の娘にガラスの靴を履かせます。

 あの娘には小さい、あの娘には大きい。

 最後の家には、二人の娘と母親が。

 そして暖炉の奥に隠された三番目の灰かぶり。

 とうとうガラスの靴は、彼女の足にぴたりと嵌ります。


 そうして灰かぶりは、お城で王子といつまでも幸せに暮らしました。


 めでたし、めでたし。


 ねぇ、誰か、誰か。

 本当に誰も気が付かないの?


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