サンドリヨンは向こう三軒のずっと先 幕間
王子は煌びやかな景色にうんざりしておりました。
国中の娘を招待したパーティーには沢山の美しく着飾った娘達がやって来ます。
王と王妃が最初に手を取り、絢爛なパーティーが始まっても王子は席から動きません。
どれほど時間が経ったのか。
にわかに城の入口が騒がしくなりました。
ガラスの靴の踵を高らかに響かせて、輝くドレスを纏った美しい娘が、こちらに歩いて来るではありませんか。
ああ! なんて美しい人なんだ!
彼女を一目見た王子は、早鐘のように高鳴る胸の導くままに立ち上がると、恭しく膝を付き娘をダンスに誘いました。
一曲、二曲、曲を重ねる事に、選ばれない娘たちのひそひそ声や、ついには貴族達の困惑混じりのざわ付きが耳に付きますが、熱に浮かされたような王子は、夢中で娘の手を取りいつまでも踊り続けておりました。
お城の鐘が零時を告げます。
ああ! 大変!
娘は悲鳴を上げると王子の手を振り切り、鐘が鳴り響く中、城の出口へ駆け出しました。
そうして後には階段にぽつんと残されたガラスの靴。
王子は、彼女の落としたガラスの靴を手に言いました。
「この靴にぴったり合う娘を探し出し、私の妃にする」
王子は家臣を引き連れて、国中の娘にガラスの靴を履かせます。
あの娘には小さい、あの娘には大きい。
最後の家には、二人の娘と母親が。
そして暖炉の奥に隠された三番目の灰かぶり。
とうとうガラスの靴は、彼女の足にぴたりと嵌ります。
そうして灰かぶりは、お城で王子といつまでも幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
ねぇ、誰か、誰か。
本当に誰も気が付かないの?




