第67話 クズ令嬢、店主を完膚なきまでに分からせる。
「なに? もしかして私を脅しているのかしら?」
イライライライラ。
イライライライラ。
「はははっ。この状況でなんとも気の強い女だねぇ。ま、そう取るなら取ってくれて構わないがね」
イライライライライライライライライライライライライライラぁぁぁぁぁ……!!!!!!!!
「聞かないと言ったら?」
「少し痛い目を見てもらうかな。おいお前ら」
「げへへへ」
「ういーっす」
チンピラどもが私とアイリーンを半円状に取り囲むように動いた。
一触即発の状況を見て、既にギャラリーはクソガキどもを残してほとんど全部逃げてしまっている。
「まずはそっちのメイドから分からせてやれ」
どうやらこいつはら、本気でこの私に――マリア=セレシアにケンカを売ろうとしているらしい。
もはや私の怒りはファイナルムカ着火ファイヤーインフェルノに達しようとしていた。
「アイリーン」
「かしこまりましたマリア様」
アイリーンがどこからともなくホイッスルを取り出して、吹いた。
ピーーーー!
すると耳をつんざく甲高い音がするとともに、長身でイケメンの5人の戦士が私のすぐ側に駆け付けた。
最近お父さまが私に付けてくれた、遠出をする時に私を影で護衛してくれるファントム・ナイツという精鋭騎士たちだ。
今までは祭りの中に身を隠して私を影から警護していたのだ。
「状況は把握しているわね」
「はっ」
「OK。なら徹底的にやりなさい。詐欺師の分際で、栄えあるセレシア侯爵家に楯突いたことを2度と忘れることがないように、徹底的にね」
「かしこまりました」
「ただし、そこの詐欺店主は最後よ。分からせをしないといけないからね」
「御意!」
ファントム・ナイツはまずはチンピラどもを容赦なくボコボコに瞬殺した。
文字通りボコボコにした。
チンピラと精鋭護衛騎士ではそもそも相手になるはずがない。
「さてと店主。残すはあなただけよ」
「あ、あひぃっ!? いったいなにがどうなって……? お前は何者だ……?」
「マリア=セレシア。セレシア侯爵家の名前くらい、あなたのようなクズでも知っているわよね?」
「マリア=セレシアだって!? あの高名な聖女マリアか!? なんでこんなところにいるんだよ!?」
詐欺店主は私の名前を聞いた途端に、腰を抜かしたようにへたり込んだ。
セイジョ?
よくわからないけどどうやら私の偉大さは理解しているらしい。
「あら、私の名前を知っているなんて、そこだけは褒めてあげるわ。ま、許しはしないけどね。じゃあ後は任せたわよ。衛兵に突き出しておいて。それと私の名前を出すのを忘れないでね」
私にケンカを売ったということは、つまりセレシア侯爵家にケンカを売ったということ。
その意味するところを、こいつらはすぐに知ることになるだろう。
「御意!」
ファントム・ナイツのリーダーは私に敬礼をすると、詐欺店主を引っ張り上げて、チンピラどももろとも連れて行った。
こうして悪はマリアの名のもとに裁かれたのだった!
ちなみに残った屋台の景品は、全てのクジを引いた私に権利があると言われたのだが、ミーシャの作ったブーツ以外は全部クソガキどもにくれてやった。
「お姉ちゃん、もらっていいの?」
「うわ、すっげー! お姉ちゃんありがとう!」
「お姉ちゃんマジ天使!」
「お姉ちゃん大好き!」
クソガキどもはやたらと私に感謝してきたが、ぶっちゃけ私はどうでもよかった。
っていうかあんなしょぼい景品とか、タダでも要らないし……。




