表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/65

第62話 クズ令嬢、青いバラで令嬢マウントをとりまくる。

 もちろん私は青いバラ『ブルー・マリア』を、ドレスの胸元にこれみよがしにつけてアピールする。


「ま、マリア様!? この青いバラはいったいなんですの!?」

「このような不思議なバラが、この世の中に存在するだなんて……!」

「もっと近くで見せていただけませんか!?」

「わたくしにも!」

「マリア様!」

「マリア様!」


 すると始まってすぐに、パーリーに参加する令嬢という令嬢が、私のもとへと集ってきた。

 仲のいいお友達だけではなく、普段は激しくライバル視しあっている令嬢たちまでもが、青いバラを見たさに私のもとへと、愛想笑いをしながらへーこらと挨拶にやって来るのだ。


「ええどうぞ。いくらでも見ていってくださいな」


 もちろん私は、それに満面の笑みを返した。


「青いバラなんて初めてですわ。こんな素敵なものを、いったいどこで手に入れられましたの?」

 ライバル令嬢の一人がさりげなく出所を探ろうとしてくる。


 ぷー、クスクス!

 必死だね(笑)

 でも全部お見通しだから。

 プゲラw


「私は最近バラを愛でることにハマっておりますの。ちょうどセレシア家専属の庭師に品種改良に()けた者がおりましたので、いろいろと私好みのバラを作ってもらっているんですのよ。この青いバラももその一つでして」


「そ、そうでしたのね。さすがはセレシア侯爵家ですわね……」


 くくく……!

 アーハハハハッ!


 なんとも悔しそうに言うじゃないの!

 そうよ、その顔が見たかったのよ!


 どれだけ羨ましがっても、青いバラはあんたには手に入れられないもんねー!

 私だけしか持ってないもんねー!


 挿し木をする時の台木(だいぎ)に適したバラの種類とか、温度管理やら肥料のやり方やらアレヤコレヤの栽培のコツとか。

 そういう秘伝のレシピは、絶対に口外しないように厳命しているんだもんね~!!


 んー?

 欲しい?

 欲しいよね~?

 でも、あーげない!


 ざまぁ!

 残念!!


 くふふぅ、超気持ちいいわ。

 今日の私は完全に、完膚なきまでに、令嬢カーストの頂上にいる――!



 だがしかし。

 私の青いバラ・マウントは長くは続かなかった――というか即座に終了した。



 後日。


「マリア様。『ブルーマリア』及び、新種のバラの輸出体制が整ったそうですな。今後は我が国の新しい産業として、おおいに外貨を稼いでくれることでしょう」


 セバスチャンが私の部屋のテーブルに置かれた分厚い資料にチラリと目をやりながら、感慨深げにつぶやいた。


「らしいわね……」


 たいして私はどこまでもローテンションだった。

 鏡を見たら目が死んでいると思う。

 もう見なくても分かる。


「それもこれも、マリア様が『ブルー・マリア』開発に莫大な資金を投入したことがきっかけ。御館様(お父さまのことね)もまたいっそう、お忙しくなることでしょうな。なにせ国を挙げての大事業の、陣頭指揮を任されているのですから」


 そう。

 私が手に入れた青いバラ『ブルー・マリア』。

 私は当然のごとくこの株を独占することで、令嬢カーストのトップに立ち続けようとしたのだが――。


 しかしパーリーの翌日に、興奮気味のお父さまからこう言われてしまったのだ。



~以下、回想~


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ