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第12話 「こいつモノホンのキチ○イじゃん!(泣)」(ざまぁ)

 私のいびりに不屈の闘志と謎の異常耐性を見せる専属メイドのアイリーン。

 そんな彼女にしびれを切らした私は、ついに最終手段にうって出ることにした。


「お呼びでしょうかお嬢さま」


 いきなり呼びつけたアイリーンに、


「アイリーン。あなたはクビよ。荷物をまとめて今すぐ出ていきなさい」


 ふふん、と。

 勝ち誇った顔でわたしは言ってやった。


 さすがのオリハルコンメンタルのこの子も、いきなりのこれには心が折れるでしょ(笑)


 必死に泣いて私にすがってくるはずだ。

 そしたら今までの分を全部乗っけて徹底的にいたぶってやるわ!


「承知しました」


「あら? 私があなたを解雇するのに理由なんていらないの。知らなかった? ――って、ええっ!? 承知しましたって言ったの!?」


「はい、承知しました」

「え、あの、今なんて?」


「承知しましたと申し上げました」

「あ、そう……」


 え、えらく素直に聞き入れたわね?


 まぁ仕事はできるけど、いびり甲斐ゼロでちっとも楽しめないから、辞めてくれるならそれはそれでいいんだけど……。


「それでは最後のお勤めとして、ただちに腹を切ります」

「…………はい?」


 言うが早いかアイリーンはメイド服のブラウスと肌着を巻き上げると、どこからか短刀を取り出した。


「えっ? 今あなたそれをどこから取り出したの? そもそもメイドが何でそんなものを持ち歩いている? っていうか腹を切るって――」


「それでは御免――」


 両手で逆手に持った短刀を、自分の腹に思いっきり突き刺そうとしたしたアイリーンを、私は必死に止めた。


 超必死に止めた。

 マジのマジのマジ卍で止めた。

 ハァハァ息を切らして、なんとか短刀を奪い取る。


「ちょ、ちょっとあんた! いきなり何してんのよ!?」


 アイリーンの突然の凶行に焦りまくる私に、


「お嬢さま、なぜお止めになるのですか?」


 心底分からないって顔をして首をかしげるアイリーン。


「いや止めるでしょ!? これが普通でしょ!?」


 私、全然おかしくないよね!?


「分かりました」


「分かってくれた? ええ、うん。あなたのそういう物分かりがいいところは悪くないと思うわよ?」


 でもほっとしたのも束の間だった。


「では裏庭で腹を切ります」

「…………はい?」


 アイリーン、あなたはいったい何を言っているの??


「ここで腹を切ってはお嬢さまのお部屋が血で汚れてしまいます。専属メイドとしてあまりに浅慮でありました。ですので人知れず裏庭で腹を切ります」


「全然分かってないわ! あなた全然分かってないわよ!?」


「ご安心くださいませ。お嬢さまのお役に立てない無能はいさぎよく腹を切りますので、お嬢さまには露ほどもご迷惑はおかけいたしません」


「だからなんでそうすぐに腹を切ろうとするの!? その時点で私は超迷惑なんだけど!? さすがの私もそこまでいくと寝覚め悪すぎなんですけど!? まずは切腹から離れてちょうだい!」


「??」


 なんでそこで不思議そうな顔をするの?

 マジで意味が分かんないんだけど??


 っていうかやばいよ、やばすぎるよ。

 だってだって、


「こいつ超鋼メンタルなんじゃくて、モノホンのキチ○イじゃん!! 関わった時点で終わりのタイプじゃん!」



 ~~後日。


 わたしは雇い止めを撤回したアイリーンの、それはもう見事なまでに完璧な仕事っぷりを何をするでもなく眺めていた。


 気分屋全開で少々いびろうとも、アイリーンにはきれいさっぱり効果はない。


「むしろなんか喜んでるような? さすがに私の気のせいかしら……」


 かといって強引に辞めさせようとすると、間違いなくこいつは腹を切る。

 本当に躊躇なくやりやがる。


「はぁ……さすがの私も人死にはちょっとね……」


 そういうわけで、完全に手詰まりだよ……。

 


「……それにしてもどうしてこうなった?」


 ねぇねぇそこのあなた。

 ちょうどいいわ。


 参考程度にちょっとあなたの意見を聞かせてくれないかしら?


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