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魔法の杖には機関銃を!~魔法全盛の異世界に、現代知識と無双の魔法で覇を唱える~  作者: Takahiro
第六十三章 帝都ビュザンティオン攻略戦Ⅱ
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海峡上陸戦

「上陸部隊、作戦を開始せよ」


 ネルソン提督は命令を下した。


 ゲルマニアの強襲揚陸艦が3隻、動き出した。沿岸に敵軍の姿は特に見えないものの、魔導反応がある以上は最大の戦力を投入すべきである。砂浜に近づくと、強襲揚陸艦はその前方をタラップのように開き、そこから次々と小型の上陸艇を繰り出す。各々に1両の戦車と数十人の兵士を乗せた短艇である。


 上陸艇を合計で50隻ほど出し終えたところで、一斉に砂浜に向けて航行を始めた。また同時に、強襲揚陸艦に装備された艦砲と噴進砲が浜を砲撃する。頭上を砲弾が飛ぶ中、上陸艇は浜に迫る。


 が、その時であった。


「閣下! 上陸艇が撃沈されました!」

「何!? やはり、魔導対艦砲を潰しきれてはいなかったか……」


 上陸艇は真ん中から真っ二つにへし折られ、たちまち沈没した。戦車は水底にあっという間に沈み、兵士達は海面に投げ出された。


「ど、どうされますか?」

「救助は強襲揚陸艦に任せ、上陸艇は一気に地上まで攻め込ませよ!」

「はっ!」


 敵軍は上陸艇を射程に収めている。一刻も早く陸上に兵力を送り込む必要があった。


「また、上陸艇が!」

「上陸艇は全速力を出せ! 急げ!」


 10隻ほどの上陸艇が沈められたものの、他の上陸艇は兵力を地上に送り込むことに成功する。が、敵はまだまだ手を残していた。


「閣下! 地上に多数の魔導兵が現れました!」

「身を隠していたか……。残念だが、我々には地上部隊の奮戦を祈るしか出来ない」

「そうですね……」


 上陸が開始され、海上からの援護は不可能となる。上陸部隊は魔導兵との戦いを強いられることとなった。


 ○


 その上陸部隊を率いているのはシグルズであった。第88機甲旅団自体は参戦していないが、司令部要員は皆参戦している。


「シグルズ様! 魔導兵です! 山の中から現れました!」

「そう来たか……。敵の数は?」

「およそ3千です!」

「大体同数か。装備は整っているし、行けるな。戦車隊は止まれ! 敵軍を迎え撃つ!」


 ヴェステンラント軍や大八洲軍が勝負を決めるのは、基本的には白兵戦である。銃と砲、飛び道具だけで勝負を決めるゲルマニア軍とは根本的に戦術思想が違うのだ。故に、このような上陸戦であっても、彼らは向こうから陣地を陣地を這い出して攻め込んで来る。


 シグルズは少しばかり兵を進ませるとすぐに前進を止めさせ、戦車隊の背後に兵士達を隠れさせた。背後に収まらない兵士達は匍匐して敵軍の襲来に備える。


「敵軍、まもなく現れます!」

「全軍、戦闘開始!」


 魔導兵の群れが木々の間から現れる。彼らは矢を射かけ、戦車隊は砲弾を叩き込む。魔導兵は榴弾に吹き飛ばされ、戦車も数両が撃破された。


「どうやら、敵は重歩兵のようだな」


 オーレンドルフ幕僚長は言った。敵が持つ弩は、戦車の装甲を貫くことが出来る。


「ああ。厄介だが、勝てない訳じゃない。全軍、撃ちまくれ!!」


 少数精鋭の上陸部隊なだけあって、全員が突撃銃と対人徹甲弾を配備されている。戦車の影から、或いは砂浜に伏せながら、対人徹甲弾の雨あられを浴びせる。相手が重歩兵だろうと、対人徹甲弾ならば貫くのにそう苦労はしない。


「撃て撃て! 誰も近づけるな!!」

「「「おう!!!」」」


 魔導兵が近寄るのより早く撃ち殺す。突撃銃による圧倒的な射速、対人徹甲弾の威力を前に、敵軍はたちまち数を減らしていった。


「敵軍、撤退するようです!」

「大したことなかったね」


 結局一度も斬り込むことは出来ず、連合軍は逃げ帰った。砂浜には若干のゲルマニア兵の死体と、大量のガラティア兵の死体が残された。


「珍しく圧勝だな」

「そうだな……だがあっさり過ぎる」


 ゲルマニア軍は特に新兵器を投入した訳でも奇策を弄した訳でもない。この結果は敵にも十分予測出来た筈だ。


「ふむ。師団長殿は、敵にまだ策があると?」

「そんな気がするんだが……あっ」

「シグルズ様、敵の砲撃です!」

「予感が当たったな」


 上陸艇を沈めたように、戦車が一両木っ端微塵に破壊された。当然周囲の兵士達も巻き込まれる。


「ヴェロニカ、魔導対艦砲の場所は分かったか?」

「は、はい!」

「よし。強襲揚陸艦に座標を伝え、破壊させてくれ」

「了解です!」


 こういう時の為に強襲揚陸艦に大砲を積んできたのだ。ヴェロニカが探知した敵の対艦砲を、強襲揚陸艦の艦砲が狙撃する。が、敵の砲が何門あるかも分からないし、確実に破壊出来るとも限らない。


「僕達もこのまま前進する。敵の陣地を制圧するのが一番確実だ」

「そうだな。敵の死角に攻め込むべきだ」


 地球ならばこういうところは十字砲火で死角がないように造られている訳だが、この世界の人間がそこまで考えているとは思えない。山腹に配置された大砲は、山に登ってしまえば撃たれることはない。


 シグルズ達は敵を確実に仕留める為にも、砲撃から逃れる為にも、山岳戦に挑むこととなった。


「しかし師団長殿、先の砲撃で木々が折れてとは言え、戦車で攻め入るのは無理だぞ」

「分かってる。歩兵だけで殴り込むしかない」


 ゲルマニアの戦車は山岳戦には対応していない。歩兵だけで山を攻め登る。


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