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魔法の杖には機関銃を!~魔法全盛の異世界に、現代知識と無双の魔法で覇を唱える~  作者: Takahiro
第六十三章 帝都ビュザンティオン攻略戦Ⅱ
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封鎖突破作戦

 ライラ所長はすぐさま総統官邸に報告を入れ、ヒンケル総統はすぐに会議を開いた。


「さて……ライラ所長、敵側の封鎖は、船の一隻の通れないほど完全なのだな?」


 上層部の面々の前で、魔導通信機の向こうのライラ所長にヒンケル総統は尋ねた。


『うん。隙間なく埋められているね』

「力づくで突破することは?」

『まあシャルンホルストなら出来なくはないと思うけど、封鎖船の中に色々と入っていたら無理だね』

「と言うと?」

『重りみたいなものが入っていたら、流石に突破出来ない。そしてガラティア軍ならそのくらい思い付いていると思う』

「なるほどな」


 甲鉄戦艦の中に重しとなるようなもの――例えば戦車や装甲車の残骸などがあれば、シャルンホルストの馬力でも突破は厳しいと、ライラ所長は判断する。そしてライラ所長が思い付くことなら、ガラティア軍の司令部もまた思い付いて実行していることだろう。


『まあそうでなかったとしても、シャルンホルストに大穴が開いて沈没する可能性があるから、お勧めは出来ないね』

「了解した。では、何とかしてその障害物を排除する必要があるな。ライラ所長から何か提案はあるか?」

『海に沈んだ船を撤去するなら爆破するしかないよ。選択肢なんて存在しない』

「手厳しいな。しかし、まあそれもそうか」


 場所は敵地だ。呑気に工作船を派遣して沈没船を撤去するなど論外である。敵に隠れて爆薬を設置するか、或いは大量の砲撃で甲鉄戦艦を破壊する他ないだろう。


「ちょうど君はその辺りにいるようだが、と言うことは、潜水艦での工作が妥当か?」 『そうだね。今はその用意はないけど、然るべき爆弾を積んだ潜水艦隊で行けば、すぐに破壊出来るんじゃないかな』

「ふむ。それでいいんじゃないか? 皆、異論はあるか?」

「シャルンホルストによる砲撃で破壊する準備もしておいた方がよろしいかと」


 ザイス=インクヴァルト大将は言った。潜水艦隊がしくじった時の第二の策を用意しておくのは妥当だろう。


「そうだな。では、その二つの方針で行こう。ネルソン提督に伝えてくれ」

「枢軸国は対等な関係性の筈なのですがな」


 カルテンブルンナー全国指導者は皮肉っぽく言った。名目上は各国が対等な同盟を結ぶ枢軸国だが、実際はゲルマニア参謀本部が枢軸国全体を指揮している。


「細かいことは気にするな」

「細かいことで済めばよいですが」


 とにかく、枢軸国艦隊はマルマロス海峡突破作戦を開始した。


 ○


 ガラティア軍を撤退させたビタリ半島に基地を置いた枢軸国艦隊。総統官邸からの指示を受けると早速出撃していた。特に何の障害もなく、マルマロス海峡の近海に到達した。


「ガラティア軍の妨害はなし、か。余程封鎖に自信を持っていると見える」


 シャルンホルストの艦橋で、ネルソン提督は呟いた。ガラティアの領海に侵入しているというのにこの平穏。海峡が突破される可能性を考えていたらこうはなるまい。


「私達にビビり散らかしているだけじゃないのかい?」


 ベアトリクスは言う。


「君も会ったのだろう? あのスルタン・アリスカンダルが、恐れをなした程度で艦隊を退かせるとは思えない」

「そうかな」

「まあいいさ。言ってみれば分かることだ。ベアトリクス、君には潜水艦隊に同伴してもらうぞ。水中では得難い逸材だからな」

「了解」


 シャルンホルストが引っ張ってきた3隻の潜水艦は、マルマロス海峡に出撃した。


「あなたがゲルマニアの研究を一手に担うライラ所長?」

「うん、そうだよ。君も面白い魔法を使う魔女として有名だね」

「それはありがたいね」

「私の戦闘能力は低いから、頼りにしてるよ」

「……それはない」


 ライラ所長は本来前線に出るような立場ではないので自ら戦うことは稀だが、その戦闘能力はかなりのものだ。彼女は彼女が開発した武器のほとんどを即座に作り出すことが出来るのである。


「ライラ所長、見えてきたよ」

「そうだねー」


 潜水艦はのろまだが、数十分で目的地のすぐそこに辿り着いた。


「しかし、あれほどの船が……。潜水艦に積んできた爆薬だけで破壊出来るのかい?」

「うーん、足りないかもね」

「足りなかったらどうする?」

「どうしようもないかなあ」

「……まあ、あなたに任せるよ」


 暗雲立ち込める中、潜水艦隊はこっそりと海峡に迫る。が、その時であった。


「ライラ所長、水中から何かが迫ってくるよ」

「潜水艦みたいな奴かな?」

「ああ、そうみたいだ」


 ベアトリクスはこちらに迫る木造の潜水艦のようなものを発見した。ライラ所長はそれに遭遇したことがある。ヴェステンラントが運用している潜水船だ。


「やっぱり水中から攻撃することも想定してたかあ」

「どうするの?」

「応戦したいところだけど、水中だと向こうに分があるからね。君は何とか出来る?」

「撃退することくらいなら、出来るかもしれない」

「じゃあ、君に全てがかかってるよ。よろしく」

「……私がいなかったらどうするつもりだったんだい?」

「今は君がいるんだから、問題ないんじゃない?」

「……まあいいけど」


 ベアトリクスは一人で潜水船を撃退しなければならないらしい。

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