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魔法の杖には機関銃を!~魔法全盛の異世界に、現代知識と無双の魔法で覇を唱える~  作者: Takahiro
第四十六章 第二次カムロデュルム攻防戦
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ゲルマニアの総攻撃

「我々が全軍の先鋒です。各自、奮闘を期待します」


 第88機甲旅団が大損害を被った今、ヒルデグント大佐率いる第89機甲旅団が稼働出来る唯一の機甲旅団である。彼女らが先頭に、ゲルマニア軍主力15万がヴェステンラント軍への攻撃を開始する。


「敵軍はおよそ6万。我が軍の兵力は十分とは言えませんが、ハーケンブルク少将閣下が多数の重騎兵を刈り取っていますので、決して勝てない戦ではありません。友軍の脅威となる重騎兵を阻むことが我々の約目。敵を撃滅するのは友軍に任せるので、功を焦って深追いしたりはしないように」


 機甲旅団は完全に機械化された部隊であるが、他の師団も今では全てが戦車と装甲車を装備している。普通の魔導兵相手ならば十分に戦えるのだ。故に、第89機甲旅団は重騎兵の相手に専念する。


「それでは総員、前進せよ!」

「はっ!」


 かくしてゲルマニア軍の総攻撃が開始された。


 〇


「ゲルマニア軍主力15万、1個機甲旅団を伴い我が方に迫って来ております!」

「15万ですか。それなら何とかなるかもしれませんが……」

「クロエ様、既に重騎兵が4,000近く失われています。今は戦力を温存するのも手かと」


 マキナは言う。確かにヴェステンラント軍がこれ以上戦力を失う訳にいかないのは事実だ。


「それもそうですが、放っておけばゲルマニア軍はどんどん兵力を上陸させて、本国が遥か彼方の私達との戦力差は広がっていくばかりです。今のうちに叩いておくのも戦略の一つです」

「はい、クロエ様の仰る通りかと。考え方の問題ですね」


 ここで貴重な戦力を削る危険を、戦力を温存させるか。しかし後者の場合、戦略状況は時間と共に悪化していくばかりであろう。


「……ここで敵に打撃を与えなければ、ゲルマニア軍はカムロデュルムの守りを固め、状況は悪化するばかりです。カムロデュルムに攻め込むのはもう不可能ですが、少しでも敵に打撃を与えておかねばなりません。やはりここは戦う他ありません」

「はっ。それでは、決戦を挑むとしましょう」


 クロエはゲルマニア軍に大きな損害を与えて進攻を遅らせるべく、決戦を挑む。


「それではスカーレット隊長、重騎兵は任せます。今回の目的は我が方の損害を可能な限り抑えつつ、敵に可能な限り大きな損害を与えることです。危険になったら兵を退いてください」

「はっ。お任せください!」

「と言いましたが、先程確認された焼夷弾……これへの対策は難しいですね」

「そ、そうですね……。もしも全ての戦車が焼夷弾を装備していた場合、戦車への攻撃ではどうやっても損害が出てしまいます」

「はい。ですので、危険があればすぐに脱出してください」

「はっ」


 焼夷弾についての詳細は未だに判明していない。ヴェステンラント軍はとにかく警戒しつつ攻撃を仕掛けるしかない。


 ○


 スカーレット隊長は再び奇襲を仕掛けるべき、簡易的な地下壕に身を潜めていた。穴を掘るだけなら魔法を使えば容易である。


「隊長、敵軍が来ました! 我々には気付いていないようです!」

「よし! 全軍、出撃せよ!!」

「「おう!!」」


 五千の重騎兵は地下壕を飛び出し、ゲルマニア軍の側面に向けて突撃した。


「砲撃、来ます!」

「こいつは何だ……?」


 戦車はすぐに対応し、回転させた砲塔で彼女らを砲撃した。そして数秒の間を開け、騎兵の陣形の真ん中に多数の砲弾が飛来した。砲弾はただ爆発し破片を撒き散らしただけで、燃え上がったりはしなかった。


「よし! やはり焼夷弾を配備した部隊は少数だ! 全軍、このまま前進し敵陣に打ち入るぞ!! 進めっ!!」

「「「おう!!!」」」


 戦車に積み込まれていたのは対人焼夷弾ではなくただの榴弾であった。それくらい、直撃でもしない限りは重騎兵の敵ではない。スカーレット隊長は迷わず突撃を命じた。


「射撃開始! ゲルマニア軍の車両を一つ残さず破壊せよ!」

「「おう!!」」


 弩の有効射程に入ったところで射撃を開始。ゲルマニア軍は脆弱な側面を晒しており、戦車も側面を向けている。重騎兵は魔導弩で次々と戦車と装甲車を貫き、片っ端から破壊していった。


「脅威は粗方排除された! 突入せよ!」


 重騎兵はゲルマニア軍の最前線を突破し、その陣形の中に突入した。車両を排除すれば残るはただの歩兵である。


「一人残らず敵を斬り捨てよ!! 我らの脅威ではない!」


 スカーレット隊長は歩兵の群れの中に突入した。遮蔽物もない状況、歩兵の小銃では重騎兵になどとても敵わず、先頭から次々と血祭りに上げられた。ゲルマニア兵は圧倒的な暴力で兵士を蹂躙する重騎兵を前にして、すっかり統制を失って逃げ出し始めた。


「敵軍、敗走しています!」

「少し引け目はあるが……弩で追い打ちせよ! 一人残らず生かして帰すな!!」


 逃げ出したゲルマニア兵の背中を矢が次々と貫く。矢は人間を一人貫いた程度では止まらず、10人近くの人間を貫いた矢もあった。重騎兵の魔導剣と魔導弩でゲルマニア兵はたちまち殲滅されたのであった。

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