番外編――大八州内戦概説
前回に引き続き、大八州の地図も作成しました。これから暫くは大八州に焦点を当てるので、ご参考に。
曉による謀反で晴虎が弑逆された後、大八州は二つに分かたれた。一つは大八州の大政を握らんとする曉の一派であり、もう一つはあくまで曉を認めない、武田家の率いる一派である。
地図上で濃い青が曉に付いた上杉家の直轄領、薄い青がそれに付き従う者の領地である。そもそも曉の謀反は晴虎に対する諸々の不満が原因であり、同じ思いを持っていた上杉の諸将は彼女に付いた形となる。
大陸の東岸にある広大な青が、上杉家の本拠地であり当主の役職名にもなっている中國である。また大八州内地の中心にある青は、天下統一の過程で上杉家が切り取った領土だ。歴史的に見ればこちらの方が本拠地であると言えるだろう。
唐土の諸侯については、一部には中立を表明している者もいるものの大半が曉に付いている為、便宜的にこの色とした。唐土諸侯は領地こそ広いが、その軍事力は貧弱であり優秀な将軍もおらず、精強なガラティア帝国軍の前には蹂躙されるだけだろう。
大八州の有力大名は概ね曉に従う気はないが、当主の晴氏が戦死した北條家だけは唯一、上杉の圧力に屈して曉の側に立つことを宣言している。
濃い赤は武田家の領地であり、赤はその同盟国及び彼に賛同する者の領地である。西の端にあるのはガラティア帝国であり、言わずもがな、この地図の外にも広大な領土を保有している。
灰色は今のところどちらに付くとも宣言していない大名である。特に潮仙半嶋の南西にある今川家は、両大国に挟まれていかんともし難い状況に追い込まれている。
注目すべきは、武田家と西国大名によって曉派の領土が分断されていることだろう。この纏まりのない勢力図のせいで双方が双方に挟み撃ちを喰らっており、全体の戦局を見通すことは困難である。
一見するとガラティア帝国という巨大な敵がおり、本拠地である中國を挟まれた曉派が不利に見えるが、南方からこれまた巨大なヴェステンラント軍が迫って来ており、その来援まで耐え抜けば曉は一気に息を吹き返すことが出来る。