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サムワンスピリッツ  作者: コーラと唐揚げ
1/6

セオリープロローグ

(本作)初投稿です。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

「――――いらっしゃ~い! ようこそ契約者・デバイザーの世界へ!」

 

 そんなことを言う女性は、この「研究所」らしきサムシングの奥から私に声をかけた。

 椅子から立ち上がり、ややふらふらとした足取りでこちらに近寄ってくる。

 身長は私よりも高いが、女性として高い訳ではない。そもそも私は小学校を出たくらいの年齢なので、タッパは大したことがないのだ。

 ややゴシックロリータめいた服の上から白衣を身にまとい、髪はおかっぱ風のそれ。

 ほわほわした声と気の抜けた笑みが愛らしく、そして同時に彼女の年齢を不明にしていた。

 とりあえずだが、こんにちはと返事を返す。挨拶は大事、らしい。

 そんな私に、彼女は笑みを深めて自己紹介。

 

「わたしはパディ。みんなからはサスピリ(ヽヽヽヽ)ドクターなんて呼ばれてるわね~?」

 

 何やらどこぞのポケット的サムシングの博士な自己紹介を思い出させるそれだった。

 いや、それにしてはやけにぽわぽわしているが。

 

「君のことは『ソラちゃん』から聞いてるよ~? なんでも、すごいんだってね~」

 

 そして私に対する認識もまたぽわぽわしていた。適当というより、ふわっとした認識と言った方がこの人の場合は合ってるかもしれない。そこに差異はあまりないのだろうが。

 そんな私の微妙な表情を平然とスルーして、ドクターパディはマイペースに続けた。

 

「知ってるとは思うけど~、一応セオリーみたいなもあるから、あらためて説明するね?」

 

 言いつつ、彼女は右手の「指抜きグローブ」型の装置、その手の甲のダイヤルを回した。それぞれ5か所の矢印、その一つを選択した状態で、柏手のように拍手一つ――――。

 その響いた音に伴い、中空に何かしら、魔法陣的なサムシングが描かれ、そこから生物的なサムシングが現れる。尻尾が二つに割れた、小さい狐をデフォルメしたようなサムシング。

 きゅい? とか言ってうるうるとした目をこちらに向けてくる。 

 可愛いじゃないか。

 

「この惑星にはサムワンスピリッツ――――神様、悪魔、自然、あるいは英雄の魂といった精霊たちが存在するの。

 サスピリたちと私たちは、時に協力し、時に敵対し。でもなんだかんだ滅ばず長く、一緒にこの惑星で暮らしている。腐れ縁のパートナーみたいな感じかしらね~」

 

 もっとまともな表現方法はないものだろうか。それこそポケット的なサムシングなら、スマートに言ってくれるところだろうに。というよりも言葉選び。

 雰囲気からそうじゃないかと思ってはいたが、この人、天然さんでは……?

 

「でも、私たちはサスピリたちのすべてを知るわけじゃない。崇め奉ったり仲良くなったりするだけじゃ、あるいは忌避して逃げ回ってるだけじゃ、いつまで経っても距離は縮まらない。

 私たちはもっともっと、彼らと近いパートナーとして存在していけると思う。

 だから私は、日夜そんなサスピリたちのことを研究してるのよ~?」

 

 言いながら、召喚した狐的なサムシングの喉をなでる彼女。ごろごろと気持ちよさそうな声を上げて目を細める狐的サムシング。

 ……まぁ精霊と言っても千差万別だし、こうしてペット的なサムシングの関係におさまるのが普通というのも結構多いのだ。何もおかしな光景ではない。

 しいて言えば「何かしらが恣意的」であるこの世界観そのものに文句をつけるべきなのだろうが、生憎と私にそれが可能なわけでもないので、そこはあきらめた。

 

「じゃあ、教えてくれるかな? 君の名前は――――」

 

 そして私は、このマイペースは博士に自らの名を名乗り、紹介状を手渡した。

 

 

 

 

 

 

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