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過去の詩  作者: 魅桜
95/320

095  沈黙の卵


彼方まで広がる沈黙

この空間は何なのか

己のみが存在する

他の者などいない


心の中を満たす沈黙

孤独が好きなわけじゃなく

無理矢理に閉じ込められた

闇という牢獄に


誰かに救ってほしかった助けてほしかった

誰も気付きもしない見もしない


永遠に続く沈黙

ここに逃げ込んだのは誰

己が入り込んでしまった

安心できる場所だから


自由を奪う沈黙

手も足も身体も動かない

存在自体が無

闇の底に落ちていった


己の存在を認めて欲しかった

苦しくて切なくて自我の卵を壊せない



     1998. 日付なし



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