+α 10
二人を見守る事しか出来なかった。
どんどん惹かれ合い求めあって……精神が崩壊した。
何も手助けなんて出来なかった。二人はお互いしか見てない。
何を言っても無駄だった。
見てる方が苦しくて切なくて……。
何故、二人だけが幸福になれないのだろう。
何故、二人だけが悪夢を見ないといけないのだろう。
失われた奪われた時を二人は過ごしていた。
お互いを服従させるかのように見ていた。
結果は分かっているのに。力で押さえつけても無駄なのに。
あの眼で射殺される。私もその一人。
あの眼の輝きは誰にも奪えない最後の希望。
時を渡り今もなお、二人は愛し合った。
また誰にも止められない。苦しむのは分かっているのに。
互いが求めあう。追う・逃げる、追う・逃げる……繰り返し。
あの鋭い眼が和らぐ一瞬。嬉しさがあふれる。
なのに何故、神は見捨てるのだろう。
幸福なはずなのに、苦しくて、傷ついて。
出来るものなら私の幸福を分けてあげたい。
あの二人の結ばれた幸福な姿が見たい。
希望の光が失われた。また、二人は何処かへ消えた。
そして私も捕らわれた。絶対に負けない。
あの二人の姿を見るまでは、必ず。
幸福な二人を見ない限り、私にも幸福は来ない。




