+α 05
自己欲にはまり、逃れられない愚かな者達。夜に惑わされて、獣と化す。
酔いしれた感情、たかぶる鼓動。救われない篭の鳥。精神を喰われ、理性を失う。誰に喰われた? 偉大なる夜を統べる漆黒の魔女に……
時の彼方、さまよう者達。嫉妬というものしか持たない、持てない。聖者を求め、神を求め、天使を求めて、今まさに
――――――地獄の門を抜け出さん――――――
闇に響く叫び。……残酷な殺人……
「……あのひとじゃない……」
「……っやぁ!! 人殺しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
高く響く断末魔。鈍く銀に光った死神の鎌。虚ろな眼。
「っっっっあああああああああああ…………ぁぁっっ!!!!!!」
滴る鮮血、貪り喰らう魔。黒衣を纏った愚かなる者は鋭い眼を光らせた。
今宵は月明りの無い漆黒の闇夜。魔物の集う夜。
「……………………」
闇を支配する漆黒の魔女。淫らな妖しげな女。聖母は何処へ消えたのか。
「わらわの内じゃ……清らかな乙女は」
クスリと微笑み、紅い唇が紫の血を飲み干す。
「刹那の時間を刻む……それこそが美じゃ……光の者じゃ」
闇の生き物永久に生きる。決められた運命。理性を失った愚かなる者達。
――――――妖艶な魔女は夜を統べる――――――




