137/320
137 夢の国
階段を上りきったら
目の前に大きな扉があった
後ろのほうを 下のほうを見ると
階段しか見えなかった
地面が見えず空ばかりが広がる
階段は音も無く崩れた
目の前の扉が音をたてて開く
絵本や童話の景色が広がり
心の奥から何かを取り出す
あれは昔に見た 夢
幸せで楽しくて嬉しくて
悪い事など一つもなくて
夢が目の前で動いていく
心がゆるやかに変わっていく
後ろを振り返ってはいけない
夢の国へいられなくなる
心に捕らわれてしまうから
現実に引き戻されてしまうから
前へ進んでいったら
新しい扉が目の前に浮かんだ
1999.08.04.




