122/320
122 女神
一目見た瞬間
自分の中の何かが壊れた
手の届かない所にいる
手をのばせば届きそうなのに
誰が見ても神聖で
回りには光が満ち溢れる
手を上げ空を見るだけで
女神に溺れる者がいる
美しいと思えば思うほど
心の中で反対を思う
「美しいバラにはトゲがある」
手痛い事をされると思う
清らかで汚れを知らない
女神とはそういうもの
だから求めてしまう
自分を壊してほしいと
そっと手をのばして
女神をつかまえようとする
笑顔で降り立つ女神は
するりと腕の中から逃げた
1999.01.14.