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119 氷冷の瞳
氷の中に閉じ込められた
朽ち果てる事のない肉体
綺麗な貴方が
彫刻のように見える
目を鋭く光らせ
しっかりと前を見据えて
水海の瞳が海青に
替わってしまう瞬間
どれだけ貴方を包む
氷の壁を壊そうとしたか
決して崩れる事のない
厚い厚い 氷の壁
貴方の心を表している
そんな気がして
とても悲しさが込み上げる
決して私を見ようとしない
氷冷の瞳は揺らぐことなく
氷の城が周りを覆う
火炎の力をもってしても
氷の壁は崩れはしない
氷の中に閉じ込められて
永遠の時間を生きる
綺麗な貴方が
神のように見えた
私を見ていた眼
二度とこちらを見ない
水海の瞳が海青に
なってしまった瞬間
氷に包まれててもいい
だからせめて私を見て
私の力が足りないから
氷の壁を壊せない
冷たい冷たい瞳
背筋に悪寒が走る
何も出来ない自分に
氷の壁達は笑う
氷冷の瞳は動くことなく
冷たい風が吹き上げる
火炎の力を使ったとしても
氷冷の壁は溶け出さない
1998.11.30.