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114 月下蜜
絡みつく香り 視線
力なく横たわる貴方
血の失せた身体が
青白く綺麗な光を放つ
きつく閉じた眼
紅く映える口唇
永遠の眠りのように
風が冷たく吹く
そんな貴方が愛しくて
力強く抱き締める
腕が床に落ちる
胸にかかる横顔を見る
吸血鬼が血を吸うように
貴方の首筋に刻印をつける
赤く痕がついて
ゆっくりと貴方は目覚める
白いシャツがはだける
身体中に傷が絶えない
赫い血が流れて
苦しむ貴方に欲情する
嫌がって逃れようとする
力なく横たわる貴方
清らかな処女のようで
その蜜に触れてみたくなる
睨みつける眼
半開きの口唇
刹那の快楽の為
熱い風が騒ぐ
そんな貴方が愛しくて
身体中にキスの雨
抵抗がなくなる
背中を反らせて求める
獣が狂い出すように
熱い狂気が貴方を壊す
中に埋め放ち
激しく夢が崩れる
されるがまま なすがまま
欲情が夢になる
絡みつくその視線が
月下の獣を呼び起こす
1998.10.05.