011 血塗られた歴史
剣をおろす 戦いは終った
俺の中で次の歴史が始まる
この記憶は現世のものか
前世のものか わからない
お前が血まみれで倒れている
剣を胸につきさしたまま
息絶えていた 俺を守る為に
こうなるなら守ってほしくなかった
“大丈夫”と耳元でささやいていた
今!!さっきまで!!
それで安心して闘えた
安心しすぎていた無様な俺
今ここに神がいるなら
お前を生き返らせてほしい
それが無理なら来世で
また二人会えるようにしてほしい
前世の記憶を呼びおこしたのは
お前だっただろう?
俺の歴史を動かしたのは……
――お前だっただろう?
今 指が動いたか?
違う動くわけがない
心臓をつらぬかれたのだから
そうあってほしいという願望
この俺の歴史を紡いできたのは
お前だっただろう?
この俺を愛してくれたのは
お前だけだっただろう?
重い身体 血まみれの指
俺は抱きしめるお前を
想いを悲しみを思い出を
二人の歴史をずっと抱く
来世で会えるのか?
会えるはずだ 絶対に
今までもずっと出会ってきた
お前が俺を愛すかぎり
また闘う為に会うはずだ
この俺の無様な姿を
笑ってくれないか?
俺の血塗られた歴史を
1997.06.10.




