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109 物語
昔の話 古のお伽草子
着物を着て 山道を歩く
のどかな風に誘われて
空の青さに目を細める
町の中のにぎやかさ
出店の人が出迎える
可愛いかんざし 柘植のくし
団子のにおいが茶屋からする
反物屋で品定めして
宿でゆっくりと疲れをとって
新品の反物 帯しめて
朝日の昇らぬうちに道を急ぐ
帰郷するのかしないのか
お伽話に花咲かせ
昔話で一晩あかして
次の旅へと出掛けていく
続いていく昔の話
新しくつづられるお伽草子
のどかな風に誘われて
空の青さに目をうるおす
1998.09.16.