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105 罪人
誰も知らない罪を犯して
闇から逃れようとする
人が犯した罪なのか
罪が犯した人なのか
太陽から逃れるように
月の光から逃げるように
ただ走り続ける有罪
焦燥がつきまとう
疲れきって休みたいのに
すぐ後ろにせまる閃光
明るくて眩しすぎて
有罪は夢を見ているのか
出口など何処にもないのに
罪を犯さない者などいないのに
誰も知らない罪を犯した者は
ただひたすらに逃げ続ける
闇の鎌が振り上げられる
逃げ切れない罪人
恐怖の眼が鎌を捕らえる
有罪は罪人ごと事切れた
1998.09.05.