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主役登場。

あれから特に変わった事はなく…、いやケヴィンが登下校を一緒にする事以外は何も変化はない。


私もシーラに対してもいつも通り過ごす事が出来ていた。



そんな日常に慣れ始めた頃、私は中庭を抜けて図書室へ向かっていた。



バタバタと走る音がするが、生憎本と資料で前が見えない。


元気だななぁ。と一人言ながらゆっくり歩みを進めていると、通り過ぎた足音は此方へ戻って来た。



「マーガレット嬢!?」


「…その声はケヴィン様?」



通り過ぎたのはケヴィンだった。私に気づいたケヴィンは荷物を半ば強引に半分以上持ってくれる。



「急いでいたのでは?」


「あ〜…いや、大丈夫だ。」



私が走り去ろうとしたケヴィンに大丈夫かと尋ねると、少し気まづそうに言葉を濁しながら頬が少し赤くなっているケヴィンに気づいた。



「おい、ケヴィン!早くこ…ん?君は…。」



声がする方を見ると、私をジッと見る少年に出会った。



私…知ってるわ。


うん。あれだ。ケヴィンの…マブ友だ。



彼はユーリ。ユーリ・アンブリッジ。この世界で主人公だった男の子だ。確か、ケヴィンと学年は同じだった筈。

よく喧嘩やサボりを一緒に…って事はサボって逃げていたのかな?


私が二人を交互に見ていると、また足音が聞こえて来た。




「ユーリ!ケヴィン!見つけましたわ!」


「「げっ…。」」



反対側から声がして、振り向くとユーリとケヴィンは声を揃えて顔をしかめた。



…うん。やっぱり来た。


二人がサボろうとすると、必ず追いかけて来る令嬢がいたのを思い出した。


ケイト・ワグナー。彼女はユーリの幼馴染だ。




「また授業をサボろうとなさったのね!」


「ち、近道したんだよ。」


「俺は、マーガレット嬢が重そうな荷物を持っていたから…!」


「!」


「「マーガレット嬢?」」



追いかけて来た少女に言い訳する二人。

って、ケヴィン今私を巻き込みましたか!?


ケヴィンが私の名前を呼んでしまったので、二人の視線が私に向く。



あまり関わりたくないのだけれど…。仕方ないわよね。




「…初めまして、マーガレット・ブランと申します。この様な格好で申し訳ありませんが…。」



荷物を持っていて挨拶がちゃんと出来ない事を詫びると、彼女は笑顔で大丈夫ですと言ってくれる。




「初めましてマーガレット様。私はケイト・ワグナーと申します。」


「俺はユーリ・アンブリッジ。よろしく、マーガレット嬢。」



二人は挨拶を返してくれると私が持っていた荷物に気づいて、ケイトはユーリに私の荷物を持つ様に言うと、断る間もなく私の手から荷物が消える。



三人は図書室まで荷物を持ってくれると言うので、甘えさせてもらう事にした。


行きながらケヴィンと知り合った経緯などを根掘り葉掘り聞かれる事になった。



「じゃあ、マーガレット様はケヴィンのお姉様のご友人だったのですね。」


「ええ。大切なお友達ですよ。」


ケイトに言われて微笑むと、三人は目を見開いて顔を背けた。



「…なるほど。これが噂の…。」


「…な?」


「破壊力が半端ないな…。」



三人は一体何を言っているのだろう。ボソボソと話をしている三人は首を傾げる私に向き直って、私に何でもないと言ってまた図書室への道を歩いて行き、無事荷物を渡す事が出来た。



「ユーリ様ケイト様ケヴィン様、助けて頂いてありがとうございました。」


「いやいや、〝月下の君〟に会えて光栄だったよ。」


「月下の君…?」


「あ、馬鹿っ!!」



お礼を言った私にユーリが笑いながら言うと、ケイトがユーリを叩いた。

痛そう…。



と言うか、何その〝月下の君〟って。



「あ〜、マーガレット嬢。俺達もう授業に戻らないと…。」


「あ、はい。…ありがとうございました。」


「…また放課後。」



私がその事を聞く前にケヴィンは二人を連れて去って行ってしまった。

スッキリしないまま教室に戻ると、シーラが待っていた。



「ねえシーラ。〝月下の君〟って何かしら?」


私がそう尋ねると教室がシンッと、静まり返った。



「え…?」



何これ。怖い…。


周りの視線が私に集中していて、私は持っていた本で顔を半分隠した。

何なんだろう?〝月下の君〟って禁句なの?



シーラを見ると、気まづそうに曖昧な笑みを浮かべていた。


月下の君…謎ですね。

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