なぜ。
目覚めたら、現実…。
ゆっくりと目を開けると、いつもと違う天井だった。
「ん……ここは…。」
「マーガレット!気が付いたのね!!」
「マーガレット嬢、大丈夫か?」
私を覗き込む二人を見た私は目を見開く。
ああ…夢じゃなかったのね…。
そう思うと同時に私の目から止め処なく涙が零れ落ちた。
「どうしたの!?何処か痛むの?」
心配で動揺を隠そうともしないシーラに、大丈夫だと首を横に振った。
そう、痛いのは身体じゃないから…。
「シーラ、ケヴィン様、心配かけてごめんなさい。」
「大丈夫なのか?」
「ええ。少し疲れたのだと思います。」
心配する二人を安心させる様に微笑んで見せる。
シーラは安堵の表情を見せて私の手を握った。
私は一瞬頭に浮かんだ映像を思い出して、握られた手がピクリと反応してしまう。
「…マーガレット?」
「あ、少し驚いただけよ。心配かけてごめんなさいシーラ。」
驚いたシーラの手を私は両手で包み込んで微笑む。
「マーガレット嬢、俺が家まで送って行くよ。起き上がったばかりだし、また倒れたら姉さんじゃ持てないだろ?」
「…ええ、私が行きたいけど…ケヴィンお願いするわ。」
ケヴィンの提案に不満気なシーラだけど、私を思ってくれたのか渋々納得してくれた。
シーラと別れてケヴィン様は馬車で私を送って下さった。
家に着くとケヴィンにお礼を言う。
「マーガレット嬢、あまり無理をするなよ?貴女は身体が弱いと姉さんが言っていた。」
「はい、ありがとうございます。…ふふ。」
「…なんだ?」
「ケヴィン様はシーラに似てますね。」
「なっ!…辞めてくれあの凶暴な姉さんと一緒なんて…。」
笑いながら言う私にケヴィンは心底嫌そうな顔をしながら言う。
「…今日はありがとうございました。シーラにも大丈夫だと伝えて下さいね。」
「ああ、わかった。」
ケヴィンにお礼を言って私は家に入って行く。
それを見つめるケヴィンに気づかないフリをして…。
部屋に入って扉を閉めると、耐えていた涙が頬を伝う。
「…っ…ふっ…うっっ…!!」
耐え切れない感情は涙になって止め処なく流れてくる。
何で…。
神様は残酷過ぎる。
ここがあのアニメの世界なら、
これからケヴィンは彼の友達になる。
そしてシーラは…
彼と結ばれる運命なのだ。
どうしてこの世界に生まれて来てしまったの?
私、マーガレットは彼達と関わる事もないモブ中のモブだ。
シーラにも私と言う親友なんていなかった。
私はこれから彼とシーラを見守らなければならないなんて…。
好きな気持ちまで思い出してしまった私は、これから一体どうなってしまうんだろう。
私の心を表す様に溢れ出る涙は止まる事はなかった。
マーガレットの花言葉は秘めた愛。