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光夜叉  作者: ソラネ
第四章
91/128

本家

今月、3回目の更新です。


「ちょっといい?」


 帰ろうとしたスバルの腕を掴む。


「掃除、手伝って」と持っていたモップを押し付ける。

スバルは「え? え?」と戸惑いつつもモップを受け取ってくれた。

教室の掃除を手伝ってくれるらしい。よかった。


「……今日は強引ですね」

「なんで敬語?」

「いやー、なんとなく? てか、他のやつらは?」

「いつもひとり」


 前は「用事がある」と掃除を任されてきたが、今はもう誰も何も言われなくなった。

そう言うとスバルは「あー……」と言った後、何も続けずモップで床を拭いた。


「最近、微妙に僕のこと避けているよね?」

「ストレートやな」

「僕のせい……? それともシン兄ちゃんがいるから?」


 自分は人から好かれる性格ではないし。

シン兄ちゃんはなんだかスバルに対して当たりがキツい。トゲトゲしている気がする。


「いんや、おまえらのせいじゃない」


 離れていっても仕方ない。そう思っている僕にスバルは首を横に振った。


「どうしてか、聞いてもいい?」


 キッパリと否定したスバルの態度に続けてどうして、自分を避けるのか訊いた。

スバルはそうやなぁ、と呟き。


「前にもいったんやけど家の問題や。

お家のためとはいえ俺は後ろめたいことをやっててん。罪悪感でお前と距離をとってた」


 後ろめたいこと……?

スバルから何かされた覚えがない。

思い当たる節がなくて首を傾げた。


「まぁ、東絛先輩はソレに気付いててな。怒られたわ~。当然なんやけどな」

「何もされてないよ?」

「そりゃあ、気付かれてたら嫌われとるわ」


 首を傾げたままの僕にスバルは少し呆れたようにアハハと笑うと「東絛先輩、心配するわぁ」と呟いた。


スバルはいったい僕に罪悪感を持つほど何をしているんだ?と思わず口から漏れでた疑問に困った笑みに変わるのを見て。


(バカだな、僕は……。

それでスバルは迷ってるって言ってたのに)


 彼は自分の心情を語っているのに。

なぜ、僕に罪悪感を抱えているのかを話さないのは何か事情があるからだ。


「オレな、お金が欲しいからなんだってすんねん。怖いことだって、イヤなことだってな。指示されりゃあなんだって……。

あー…話せないってもどかしいな」


 「ごめんな、ヒカル」とスバルは続ける。


「約束なんや。これ以上言われへんのや」




「さて、終わったし帰るか」

「うん、ありがとね。はかどった」

「そりゃそうやろ。一人でやるよりは」


 教室の端に机を寄せたり、戻したりを一人でするのは手間だったりする。


「もう一人いるだけでこんなに違うんだね」

「おぉ…おまえってやつは…………」


 僕の感想にわざとらしく哀れむスバル。

そうだよ、みんな帰るからいつも一人さ。


ムスッとした僕にスバルは「あ、そうそう」と顔を近付けて言った。


「本家のヤツらには気をつけてな」


 僕の耳で囁くとスバルは僕の返答を待たずさっさと教室を出て行った。


(本家……?)


 一瞬、父の朧気な顔を思い出し、嫌な気分になった。




いつも『光夜叉』を読んでくれてありがとうございます。

あまり進展が緩やかだったので、更新しました。

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