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光夜叉  作者: ソラネ
第四章
89/128

人は見たいモノしか見ない


 僕達は首を傾げた。

携帯をみても姫川から何も連絡がなかったからだ。

たまたま都合が悪くなった。

どこか違和感がありながらも僕達は家に帰った。


――心配じゃないの?


 不安を書き立てる声が微かに聞こえた気がした。





「本当に行っていないんだな?」


 高圧的に訊かれ、頷き「行っていません」と応えた。

お昼休みに進路相談室に連れていかれた僕は教師から『ウラマチ』に行ったことについて問い質されていた。


「複数の生徒からお前を目撃したと情報が入ってるんだ」


 教師がいうにはウラマチへと消えていく僕の姿を複数の生徒が見ているとのことだった。

そのせいか何度も行っていないと言っても教師は僕が嘘をついているとしか思っておらず、叱ってくる。


「放課後、反省文を書いて提出するように」


 いつまで認めない僕に教師は作文用紙を半ば僕に押し付け、進路相談室から出ていった。


(り、理不尽だ……!)


 進路相談室に呼び出した時点で自分の話を聞く気はなかったんだ。

肯定しようが、否定しようが処遇は決まっていたのだろう。


僕はため息を吐き、仕方なく教室に戻った。



「お昼……食べれなかった」


 五時限目の授業が終わり、ぐーぐーと鳴るお腹を擦る。


「呼び出されてたもんなぁ」

「あー、ウワサになってるやつか?」


 僕の独り言を聞いたスバルとその友達の加藤が話しかけてきた。


「人は見た目によらないっていうけど、神代は見た目どおりなのになぁ」


 見た目どおりだろうが。

なんか良い意味で言われてはいないので少しムッとするが、否定もできない。


「そもそもウラマチってなんや?」

「あぁ、そっか。お前は知らないんだったな」


 加藤は簡単に『ウラマチ』について説明する。

正式の地名は違うが、この町の住人は昔から繁華街と隣接しているあの一帯を『ウラマチ』と呼んでいる。


「治安が悪いから立ち入り禁止になってんだよ」

「へぇ、そんな場所が。案外知らずに行ってたかもなぁ」

「飲み屋かラブホしかねぇからお前に縁はないからすぐ出たんじゃね?」

「うっさいわ! でも、災難やったな。ホンマ行ってへんやろ?」

「うん。行ってないのに反省文、書けって言われた」

「あ~。あんま遅くならへんうちに帰り~よ?」


 愚痴をこぼした僕の頭を「ドンマイ」とスバルは言いながらポンポンと優しく叩かれた。




 あやしき者は罰せよ。


そんな言葉が脳内に浮かぶ。

誰かが黒だ、と声を挙げれば真っ白であろうが染まってしまう。

染まらないのは材質が違う。異質なものだけだ。


「終わりました」

「あぁ、そうですか」


 適当に書いた反省文を提出すれば、興味無さげに教師は受け取った。


面倒臭さが滲み出ている。

だが、あまり不満が出ないのはその教師は元からそういう人だと知っているからだろう。


 放課後の進路相談室には、織部(オリベ) 九郎(クロウ)と僕しかいなかった。

進路指導の先生は何か用事があったのかよく分からないが。

その教師に代わり織部が反省文を書き終わるのを見張っていたのである。


「何ですか?」


 何もアクションがない織部を見続けていた僕に聞いてきた。


「え、もう終わりですか?」

「そうだが。何か他にあるのか?」


 てっきり反省文の内容をその場で確認すると思っていた僕の声は裏返った。


「先生っていつからこの学校にいましたか?」


 さっさと帰れば良かったものを、つい聞いてしまった。


「四年くらい前からここにいるが?」

「へぇ、そうなんですね」


 だから、なんだ?と訝しむ目で織部は僕を見ている。

 

「もっと前からいたと思ってました」


 図書室にあった古い文集にあなたが写っている写真があったんですよね……と口を滑らなかった僕を褒めてほしい。

前だったら焦ると思考を停止するか余計なことを喋っていた。


でも、話題を広げるのは失敗だったと思う。


「何故、もっと前からここにいたと思ったんだ?」

「それは……なんとなく?」


 正直に言えない。言ったらまずいと感じ曖昧に応えた。


「………身体の方は何ともないか?」


 少しの間、沈黙が流れた後。

織部はあぁ、と思い出したかのように聞いてきた。

図書室で倒れた時のことを言っているのだろう。

閉まっていた保健室を開けて僕にベッドを使わせてくれたのは織部だとスバルから聞いていた。


「あ…はい。あの時は迷惑かけてすみません」


 僕は意外だ、と思いながら迷惑をかけたことに対して詫びる。

あまり生徒に気遣うタイプではなく、むしろ人と関わりを持つを面倒くさい人だと思っていた。


「そうか。ならいい。顔色が悪い。はやく帰るといい」


 素っ気なく促された。

残る理由がない僕はさっさと進路相談室から出てカバンを取りに教室に戻った。




お読みいただき、ありがとうございます!


なかなか長編を書くのは難しいですね。

読む人によっては駄作かもしれません。それでも妄想を書きたかったのです。


ワガママに付き合ってしまってごめんなさい。

そんな作品にも付き合ってくれる方には感謝を。


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