そばにいたのに何も知らない
今月、3回目の更新です。
昼休み。使用禁止のロープを越え、屋上内に入っていく。
「勝手に使っていいの?」
「いいよ。生徒会は見回りもかねて鍵を預かっているから」
隣に立つシン兄ちゃんに聞くと問題ないと言われたのでホッとする。
先生に見つからないかドキドキしていた。
(シン兄ちゃんって生徒会に入ってたんだぁ)
今更、知った自分が恥ずかしくなる。
周囲に対して興味が無いから、はじかれるんだ。
(つまらない人間なのによく一緒にいてくれるよね)
「あ! ここにいた」
(……この人も)
「オレも誘ってくださいよ、先輩」
「少しは察してくれないか?」
「何をですか?」
睨み合ってるシン兄ちゃんとスバルを余所にコンビニで買った菓子パンを食べる。
『カイコの樹』の件以来、シン兄ちゃんはまた過保護が増加してしまった。
そのせいで休み時間に会う頻度や登下校など過ごす時間が増えた。
(学校で一緒にいないようにしてたのになぁ)
それに加え、スバルと距離を置かせたいみたいだ。
昼休みや下校時には僕を連れ出し、あまりスバルと一緒にさせないようにしていた。
何も言ってこないが、スバルたちと関わったせいで僕が危険な目に遭ったと思っているらしい。
(注意力が足りなかった自分がいけないんだけど)
「お前らってさ。どんぐらい自分の家のこと知っとんの?」
僕達の近くでお弁当をひろげ食べ始めたスバルは聞いてきた。
「どのくらいって……?」
質問の意味が分からない。
「親や親戚関係とか、あと先祖っていうか血筋っていうか……なんて言えばいいか、自分の出自と血族の関係性を把握してるのか?」
上手く説明できないと溢しながらスバルは言う。
「俺らって特殊じゃん? あやかしを視ることができれば、対抗できる力もある。でも、それって普通の人は持ってないものや」
普通の人はあやかしを視ることや『チカラ』……漫画や小説みたいな常識から外れた能力を持っていない。
ある種では異常な『チカラ』を僕達は持っている。
「どこから与えられているのか。無から何も生まれないからな。
家族や親戚もそうなのか、そうじゃないのか」
「どこまで『チカラ』のことで自分と家族たちが関わり知っているのか」と。
僕だけではなく隣にいるシン兄ちゃんにも問いは向けられていた。
「それを知って何か変わるのか?」
静かな声音でシン兄ちゃんは言う。
「それは……」
「それとも誰かに言われたのか?」
「あ~、警戒されているのは分かる。俺も迷っててん。家族や親族を裏切れへんから」
ごめん、とスバルは申し訳なさそうに言った。
「俺はお前らのことも裏切りたくないんや」
信じてもらえないだろうけど、と言ってアハハと苦笑った。
「スバル……最近、苦しそう」
「え?」
「変な笑い方をしている」
スバルは悩んでいるだと思う。
明るくヘラヘラと笑う印象が強い彼が最近はどこか苦しそうに笑うのだ。
何か僕たちに相談したかったのかもしれない。
「スバルの質問だけど。僕は家族が『チカラ』のこと知っているのか分からない。言われたこともないから、たぶん知らないじゃないかな」
「……俺の両親や親戚たちは一般人だ」
無関係な人達をこっちの事情に巻き込むなよ、とシン兄ちゃんは言った。
「ヒカルはお前を心配して話した。少しは信用しているんだ」
「うん。巻き込むつもりは更々ないよ。ただ、どうするか考える材料が欲しかったんだ」
「変なことを聞いて悪かったな」とスバルは笑みを作った。
ここまでご閲覧いただき、ありがとうございます。
前回、短かったので更新してみました。
すべての登場人物の背景だったり、物語の構成がブレブレだったりするかもしれませんが。
完成を目標に書ききりたいと思っております。




