報われたい
新年、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
「きっと報われないように出来ているんだよ」
鬼は嘆く。抉じ開けた結界の中で。
「誰かの犠牲の上で成り立つ希望なら」
長年、想い続けていた夢が叶わないと知った鬼は、常闇の王に主を奪われた時よりも酷く荒んでいた。
「世界の方が滅べばいい」
鬼は恨みの隠った声で呟く。
「やめ……」
止める間もなく彼は術を発動させた。
常闇の王が封じられている異界は、特別だった。
現世で行き場を失った『器』の無いあやかし逹が最後に流れ着く場所であった。
数多くのあやかしを受け入れた結界は、安らかに眠りたいあやかしとって揺り篭でもあったのだ。
それを彼の術により、強制的にあやかしは目覚めさせ『器』の無いあやかしに肉体を与えた。
何百、何千……影のようだったあやかしは色を、形を、明確な姿を得ていく。
だが、その代償とでもいうのだろうか。
あやかしは抗えたがい飢餓感に飲まれ。
――共喰いが始まったのである。
「どうする?」
凶暴化したあやかしを冷えた眼で眺めた鬼が問いかける。
「ここで喰われるか。逃げるか。君次第だよ」
今、喰われたくないなら地の果てまで逃げろ、と。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
第四章…始まっちゃった。
どう転んでも第四章で終わりたいと考えてます。
褒められた文章ではなかったかもしれない。
矛盾だらけで分かりづらかったと思う……。
でも、書きたかったから書きました。
暇つぶしにお話を読んでいただければ僥倖です。