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光夜叉  作者: ソラネ
閑話
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閑話。思い出4


 時は流れ。俺はひとつ上の学年に上がった。


ヒカルも小学生になり、そのお祝いに俺と俺の両親、ヒカルとヒカルの母で近くのキャンプ場に来ていた。


ちょろちょろと流れる川とゴロゴロした石しかないキャンプ場は、少し遅めの昼食を終えた子供にはすぐ飽きる場所だった。


石を川に投げたり、積んだり一通り思い付く遊びをし後、水面をぼんやり眺めるしか

思い付かなくなった。


どっちが言ったのか忘れたが、冒険しようと言い出し、俺たちは上流の方を歩いていった。


「へぇ、こんな所があったんだ」


 どんな道を通っていったのか、どんな手順を踏んで辿り着いたのか。


気付けば、滝の前にいた。




「まぁまぁ暗いねー」


 滝の裏に洞窟を見つけ、好奇心から洞窟の中に足を踏み入れた。

転ばないように足元を確認しながら進むと壊れた祠に辿り着く。

でも、当時の俺はそれが何であるのか分からなかった。


「これ、何だろう?」


 隣にいるヒカルを向けば、彼はその場に固まって壊れた祠を凝視していた。

そして、カタカタと体を震わせ始めた。


「どうしたの? ヒカル」


 何度も呼び掛け、肩を揺さぶってもカタカタと震えるだけで反応しないヒカルにだんだんと焦りを覚える。


「帰るよ!」


 お母さんたちのところに戻ろう。

ここから離れよう、ヒカルがおかしくなった。


 俺はヒカルの腰に手を回し、強引に後ろにある洞窟の出口の方へヒカル引きずっていった。

「あ……あ……」とヒカルは口をパクパクさせ、呻き、ジタバタと暴れる。


「あっ」


 洞窟の出口付近でピタっとヒカルが止まる。だから、油断してしまった。


俺は川の中に落ちた。ヒカルに引っ張られて。




 落ちたといっても高くない斜面からで落ちた先の川も水位は深くはなかった。

立てば膝より少し上にくる水嵩だっだが、俺は仰向けになったまま完全に起き上がれず水の中にいた。


理由は目の前にいる人影のせいだ。

俺の上に跨がり、起きようと藻掻く身体を押さえ付けているからだ。

こぼっ、ごぼ…と口や鼻から空気が泡になって水面に上っていく。


「アハハッ」


 息をしたいがために中途半端に頭を水面から出す俺を見下ろしてソイツは楽しそうに笑っている。


意識を失いかけた時、俺を押え付けていま手を緩めた。空気を求め頭を上げる。


「誰だ、っおまえ……!」


 水面ギリギリで上げた顔は勢いよく吸い込む。

川の水と空気を飲みこみ、ゴホゴホと咳を溢しながら言う俺にソイツは目を細めた。

ヒカルではないと見破ったね、とでもいうように。


「ヒカルをかえ、せ」


 ヒカルと同じ顔しているが、悪意を隠そうとしない表情はヒカルとは別人に見えた。

何より瞳が血で染め上げたように真っ赤だった。


「へぇ…若干、若返ってるけどよく見たら懐かしい顔じゃないか」

「……」

「うんうん。分からないか、そうだよね。覚えてないよね」


 (何を言ってるんだ……?)


「でも、ボクは覚えてる。けっこう根に持つタイプなんだ」


 嫌な予感がした。


「やめろ……はな、せ……」


 あざとく気味の悪い笑みを浮かべたソイツは首に手をかけ再び水の中へと沈められた。


なんで?

なんで殺されなきゃならないんだ?

苦しい。苦しい、助けて、死ぬ。このままじゃ死んでしまう。嫌だ、まだ死にたくない。誰か、誰か! 助けて。


 水面を通して映るソイツの顔は歪み額に角が生えてるように見えた。


――『鬼』に殺される。


意識が朦朧とするなかで最後に思ったのはそれだった。



俺は確かにその時、命を落としたのだ。





ご閲覧、ありがとうございます!


また、ブックマークや評価ポイントが増えてると嬉しくて変な声が出ます。感謝です!

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