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光夜叉  作者: ソラネ
第三章
65/128

彼だけ連れ去った

※三人称視点です。




「ヒカルさん!」


 姫川(ヒメカワ) 水樹(ミズキ)の叫びに久瀬(クゼ) (スバル)はカウンターに駆け寄った。


「何があったんや!?」

「ヒ、ヒカルさんが倒れてしまって」


 カウンター前に立つ姫川を退かす。

床に倒れている神代(カミシロ) (ヒカル)を視認すると久瀬は青褪めた。


「状況を、詳しく教えろ」


 久瀬は神代の頬に触れ、温もりが失ってないか確認しつつ、神代が気を失った時の状況について姫川に訊いた。


「あの本を持とうとして、突然ヒカルさんが倒れたんです」


 「よく分かりません! 分かりません!」と首を横に振りながら姫川は話した。

かなり動揺をしているのが見てとれた。

自分だってそうだ、友人が倒れているのだ。

悟られないよう久瀬は平常なふりをし、姫川が示した本に視線を移した。


「アレか……」


 蔦の模様が描かれている本を見てあまりの異様さに息を呑む。一目で判るほどだ。

素手で触るのは危ないと判断した久瀬は結界の札を貼り、神代をカウンター内からフロアの方に運び寝かせた。


「ヒカルさん、起きてください。ヒカルさん!」


 床に横たわる神代を起こそうと姫川は揺さぶるが、目を覚ます気配はない。深く深く眠っている。

まずいことになった、と久瀬は神代の容態を見ながら思う。


(あの本にヒカルの精神を持っていかれたんだ。今までの被害者の精神もおそらくあの本の中にあるのだろう)


「……俺の失態や」

「どういうことですの?」

「こうなる可能性を考えなかったわけではなかったんや。もっと慎重に俺が周囲を見るべきやった」


 悪い、と謝りかけた時、ぺちんと両頬を押さえられた。


「謝らないでくださいまし。完璧に先を視ることは誰も出来ないのです。今。最善の道を選びましょう」


 俯きかけた顔を押さえた姫川は、真っ直ぐな瞳で久瀬を見つめていた。

先程までの動揺を抑えているのだろう。

久瀬に触れている手は震えていた。


「そうやな」


 頬に触れている手を掴み、久瀬は返した。



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―



「…で、神代が倒れたと」


 保健室前の廊下で久瀬と教師…織部(オリベ) 九郎(クロウ)が話していた。

保健室内にはベッドに寝ている神代と付き添う姫川がいる。


 あれから、すぐに図書室の異変に気付いた織部より三人は見つかった。

神代が気を失っている状態のため、まずは保健室に運んだのである。

その後で、今廊下で教師である織部にどういうことだと久瀬は問われ、事情を話していた。


「他校の生徒を招き入れたうえに神代 光が倒れるとは……。上の方々がまた五月蝿くなりますね」

「……今、神代はどんな状態ですか?」

「とても気持ち良く眠っていますよ。他に怪我もしていない。本当にただ深く眠っている。揺さぶっても起きないくらいに」

「そうですか。今から先生は誰かに連絡するのですか?」

「ただ眠ってるだけなので、何とも。しかし、学校にこのまま置いていけないので連れて帰ってもらいたいですね」


 淡々と無表情で話していた織部は面倒だといわんばかりに溜め息をついた。


これ以上、面倒事になる前に久瀬に神代達をどこかに連れていけ、と織部は云いたいのだろう。

そんな圧を織部から感じ、久瀬は教師としてどうなんだ?と目を細めた。


(『鬼』を連れ帰るとか……)


 姫川はともかく、神代の家は分からないため、自分が住むアパートに連れていくことになる。

もし、以前のように暴走したら自分の身は何とか守れても周囲にいる人や建物はそうはいかなかった。

それを危惧した久瀬は、織部の内心を察してはいるが、そうやすやすと返事ができずにいた。


「ここに神代 光はいますか?」


 久瀬の背後から声があがる。

振り替えれば、東絛(トウジョウ) 慎一郎(シンイチロウ)が立っていた。


「あぁ、中にいる。眠っているから連れ帰ってくれ」

「分かりました」


 東絛は保健室の扉を開け、スタスタと真っ直ぐに神代が眠っているベッドに向かっていく。

そんは東絛の後を追うように保健室内に入った久瀬は聞く。


「なんで東絛先輩はここに?」

「姫川さんから聞いた」


 久瀬や姫川に一瞥もくれず、神代だけを切なげに見つめたまま東絛は応えた。

久瀬は姫川に視線を向ければ、つい先程、神代の携帯に着信があり、東絛に保健室にいる旨を伝えたとのことだった。


「あまり無茶なことを光にさせないでくれ」


 神代を横抱きにし、持ち上げた東絛は怒気の籠った声で言うと保健室から出て行った。


いつの間に持っていたのだろうか。

神代の胸には『剣』があり、大事そうに両手で抱えていた。


 


いつも閲覧やブックマークなどをしていただき、ありがとうございます。


最近、読んでくれている方が増えていてビックリドッキリしています。

ありがとうございます!!

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