階段から落ちた時と似ている
姫川は入り口の近く、カウンター付近に立っている。
カウンターの上で何かを見ていたようだ。
「あら、ヒカルさん」
「何を見ているんだ?」
カウンターへと近付いた僕に気付いた姫川は顔をあげ、ノートを見せつつ応えた。
「本の貸出し帳です。過去の記録に残ってないかと思いまして」
「それらしいものはあったか?」
「いいえ…まだ。ヒカルさんは?」
「僕も。何も」
手掛かりが図書室くらいで他に何もないのだ。見付けるのは難しいと思う。
「暗くなってきたし、いったんスバルの所に行こうか。これは元の場所に片付けておくよ」
姫川から貸出し帳があった場所を聞き、カウンターに入る。
カウンターの引き出しの中に貸出し帳を仕舞っていると、はたと違和感に気付いた。
足元が仄かに明るいのだ。
「どうかしましたか?」
カウンターの下を覗き込む僕に姫川は尋ねてきた。
僕はそんな声を聞きながら、カウンターの下。足元にあるボックスを引っ張り出した。
「なんか光ってる?」
引っ張り出したボックスを示すように言えば、姫川は確認しようとカウンターから身を乗り出した。
そのボックスは、側面に『廃棄用』とマジックで書かれており、複数本が積まれていた。
積まれた本の隙間から柔らかい明かりが漏れ出していた。
姫川が見つめる中、僕は積まれている本に手をかけ、退かしていく。
「何、この本?」
ボックスの底に見付けたのは綺麗に装丁された本だった。
深みのある紺色の本には、題名や著作名の記載がなく、文字の代わりとでもいうかのように銀色の蔦の絵が描かれていた。
(本に寄生した蔦みたいだ。それが何故か光っているみたいに見える)
紺色の本に絡みつくように描かれた蔦の絵が仄かに光っている。
今、光源となるものは周りにはないため、何かに反射してそう見えている訳ではなさそうだ。
(異様な感じ……)
仄かに光っていることも異様だが、この本を見付けてから惹きつけられ、目が離せなくなっていた。
何が異様に感じてしまうのか探るように僕は本を躊躇いつつも手に取る。
ぞわり、と。
本を取った手から、腕から、背筋にかけ撫でられたかのような悪寒が走った。
ビクリと体が跳ね、手から本を落としまった。
落ちた拍子に本のページが開き、そのまま床の上に落ちている。
「……っ、!」
反射的に本を拾おうとして、前に出していた僕の腕に青々しい色をした蔦が巻き付いていた。
「ヒカルさん!」
異変に気付いた姫川はカウンター内に周り込む。
蔦に身体を巻き付かれ、侵食された僕は姫川の声を遠くで耳にしながら、本の中に落ちていった。
まるで夢の中で足を踏み外した時の感覚だった。
いつも読んでくれて、ありがとうございます!
ブクマもしてくれてありがとうございます!!
意思が脆弱すぎる主人公のせいで分かりにくさや共感のし辛いさ満載だと思います(たいだいはアイツのせry)
長編を書く練習としてもこのお話は最後まで続けて書きたいと思っております。




