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光夜叉  作者: ソラネ
第三章
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盲目の美少女

お待たせしました!

第三章の突入です!!




 予期しないことは向こうから顔を出し、翻弄されるのである。



(エンジュ)、会いにきてくれたのね」


幾度目かの不思議な夢の中。

綺麗な着物を着た美少女は僕…今は『槐』と呼ばれる人に顔を向けると本当に嬉しそうに微笑んだ。


 最近、夢の中で僕は『槐』と呼ばれることが度々あった。


槐はどんな人なのか分からない。

僕からは槐の姿は見えないため、夢で知った範囲で想像するしかない。

少ない情報から知ったのは、各地方に赴き、『あやかし』を退治をしていること。

傅かれる場面があることから身分が上の人なのだろう(あの目立つ金色の髪が傅く人の中にあったので、光夜叉(コウヤシャ)が仕えていた人かもしれない)


それと、時折肩から垂れてくる長く綺麗な黒髪の束を鬱陶しそうに後ろに流す仕草から髪を一つに結った女性、もしくは長髪の男性だと思われる。



「気付いてくれたのですね。どうです? この前、くださった簪。とても良い音色の鈴で余は気に入ってますの。似合っておりますか?」


 チリンチリンと鈴蘭のような小粒の鈴が艶やかな髪を彩っている。


「ふふ……うれしいですわ」


 朗らかに笑う美少女の瞳は青白く、槐の姿は映っていなかった。




 (また、昔の夢……)


 最近はなぜか陰陽師や妖怪やらあやかしやらが平然と登場しても違和感がない、むしろ実在していであろう時代の夢を視ることが多くなった。

主に槐という人物に自分がなっており、第三者の視点から周りの景色や風景などを眺めていた。


前までは自分の方がその人に傅く視点、夢が多かったが、今は逆の立ち位置だ。


そういえば、傅く人々の中に光夜叉らしい人もいた。

もしかして、以前の夢で剣を捧げた『主』は槐だったのかもしれない。


 朝の仕度をしつつ、考えていると苦情が入ってきた。


『あまりボクのことを詮索しないでほしいな』

「……ボクの心の中を読まないでくれ」

『そんなこといっても伝わってくるからしょーがないじゃん。ボクと君は繋がっているだし』


 今、光夜叉はいつもと変わらない姿を僕に見せているが、少し前までは彼は姿を現さなかった。


先日に起こった獣顔の件で彼はずっと僕の中に引き込もっていた。

やっと僕の前に姿を見せた彼は謝りつつ、『あやかし』から受けた穢れで見せられない姿になっていたことと、穢れを浄化するまで精神が不安定になっていたことを打ち明けてくれた。



『ボクは少しずつ、思い出してくれている君がいてうれしいよ』


 背中から僕を抱き締めてきた。


「…あの『槐』っていう人は僕の先祖様か何かなのか?」

『う~ん、そうだね。そんなところになるかなぁ。主様の直系ではないけど同じ一族の子孫になるからね。神代家は』


 遠すぎるかもだけど、と曖昧な返答をしつつ光夜叉は付け加えた。


『ヒカルの中にある魂がみせてるんだよ。

それにね、これは君が『チカラ』を思い出すのにとっても大事なんだよ』


 その『槐』という夢を視たからって『チカラ』を使いこなせるようになるのかは分からないが、あやかしを退治するためのヒントにはなるだろう。


「僕と槐っていう人の『チカラ』ってどこか似ているの?」

『主様たちの『チカラ』は同じだよ。

君ははやく『チカラ』を思い出して、使いこなしてほしいな。『常闇の住人』を倒して』


 背中を重く感じながら、僕は登校するため家を出た。






「よ、ヒカル。今日も重役出勤やな」

「うん、おはよう」


 二時間目の休みからの登校。遅刻である。


自分は、間に合うように家を出るが、この街がおかしいのか、自分がおかしいのか…時々、変な道に迷い込み目的地に着くまでに時間が掛かることがあった。

特に一人で登下校をする場合が多い。


「朝、起きるの。ツラい」


 今日もそんな日だったが、説明するのが面倒だったり、スバル以外には伝わらないと思い、パッと思い付いた理由を言った。


スバルの近くには加藤がいた。

僕の机近くで二人で雑談していたようだ。


「けっこう、お前…神経太いな」


 スバルと一緒にいた加藤が少し呆れ気味に言われたので、首を傾げとく。言葉に反応してみせる。

加藤は真面目な性格なので僕の素行の悪さに思うところがありそうだ。

だから、意外と真面目なスバルと気が合うのかもしれない。


「そういや、久瀬。お前オカルト系のヤツに詳しいだったな。ついでに神代も」

「そうやな。なんや、お前それ系のこと信じてなかったやろ? 急にどうしたん?」

「いや、別に。ただの見間違いかもしれないが………」


 加藤が語る。


 先日の放課後、化学教師…織部(オリベ)に手伝いを頼まれ、半ば強制的に化学室の掃除や部品の整理をさせれた帰り。


やっと手伝いを終え、解放されたのはほとんどの生徒は帰ったであろう時間帯。

日が長い季節とはいえ、雨雲に覆われた空は暗く、加藤は雨が降る前に帰ろうと校舎から出ようとした時だった。


 下駄箱がある出入り口から見える校舎の窓に図書室の方へと消えていく女子生徒の後ろ姿を見たと……。


「あれはウチの制服ではなかったし、そもそもあんな時間に一人で学校にくるか? 他校の生徒がなにしに来たって話だよ」

「まぁ、おかしいっちゃおかしいわなぁ」

「だろ…ってことでお前調べてみてくんね」

「…お前、オレを便利屋なんかと思ってるやろ」

「何か面白いことが分かったら教えてくれ」

「面白いこと前提ですか!」


 じゃあな、と予鈴のチャイムと共に席に戻る加藤にスバルは「人を使いよってぇ…」と呟いた。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

また、今月の投稿になり、お待たせいたしました。すみませんでした。


とうとう第三章に入りましたね。

今回の章は、過去(夢)の話を混ぜつつ、物語を書いています。


そんな第三章も読んでやるぜ、という方、改めてよろしくお願い致します。

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