半身である君
「ヒカルは思ったよりやっかいな『チカラ』を待っていたんだな。だとすれば、あの状態もヤバかったじゃないか………」
スバルは僕の『チカラ』のことを聞き、僕が元動物病院で気を失った時のことを訊いてきた。
「ずっと夢をみていた」と応えると顎に手を当ててつつ言った。
「ヒカルは自分の『チカラ』のことどこまで分かってるんや?」
「そんなには……」
知らないことが多すぎる。
光夜叉に任せっきりではっきりと自分の『チカラ』がどういうものなのな分からない。
「なぁ、『チカラ』を使うと寿命が削れるんだったらもうこれ以上、あやかしに関わらん方がええとちゃうか?」
「それは無理だよ。僕は常に狙われている。あっちからアイツらはやってくる」
光夜叉に頼らなくても自分の力で対処したい。
彼をあまり信用できなくなってしまった。
彼は僕を嫌っている。
鈍い自分でも分かってしまうほどに彼は悪意に満ちた顔を見せる。
「僕は自分自身で『チカラ』を制御したい」
光夜叉、ひとりにすべてを任せたくない。
自分の命なのだから僕が『チカラ』を扱えなくてどうする。
僕は姿勢を正し真っ直ぐとスバルを見つめた。
「分かった。俺もまだ半人前やから教えられる範囲になるが、知ってることは教えたるで」
「ありがとう」
僕は頭を下げた。
その後、スバルはあの一件での報酬の半分を渡してきた。
いらない、と言ったがスバルは約束を守れなかったからと強引に封筒を掴まされた。
封筒の中には3万円の他に護符が数枚が入っていた。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
激しく乱れた息遣いが聞こえてくる。
眩しいほどの暗闇の中で自分の姿だけがはっきりと見え、不思議とここは自分の精神世界…夢の中だと把握していた。
だと、すればこの息遣いは誰から発しているものか分かってくる。
「光夜叉」
彼は蹲っていた。
地に顔を伏せ、長い着物の袖を使って自分の頭や顔を隠している。
「これ以上、近付くな!」
光夜叉は声を荒らげた。
僕はこれ以上近寄るのを止め、その場に立つ。
「……何しにきたの? ボクに会いたくなかったくせに」
光夜叉は顔すら上げず、僕がここにいる理由を聞いてきた。よっぽど顔を見られたくないらしい。
「会うのは怖かったけど、会わなきゃ『チカラ』のこと把握できないから」
「へぇ、ボクの正体を暴きに来たんだ。何も思い出せない君が」
「ずっと僕に忘れているっていう。何を思い出せというんだ?」
少し間を置いた後、光夜叉は口を開く。
「ボクのこと。『剣』として支えていたボクを、半身である君が忘れてしまったことを」
思い出して、と光夜叉の声と共に僕は目を覚ます。現実へと戻ったのだ。
いったい、僕は何を忘れているのだろうか?
光夜叉が言った言葉を反芻しながら、思い出そうとするが分からない。
光夜叉のことを何も思い出せないからハリボテで歪な刃になるのだろう。
「剣、か」
ぐるぐると光夜叉の本当の姿とは何かを思考するなかで、過去の繋がりは向こうから訪れてくるとは、まだ僕は思いもよらなかった。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
また、ブックマーク登録など増えていたり、閲覧数が増えていたりで……とても嬉しく気持ち悪い笑顔を溢してしまいます。
さてさて、これで第二章は終わりです。
次は第三章を投稿したいと思いますので、第三章も読んでやるぜ!!という方は、今後もよろしくお願いします。
※第三章は来月になる可能性があります、すみません。




