痛い
「いっ、…っ……つぁ……」
突き刺された右肩がジクジクと痛みを訴えてくる。
蜘蛛の脚を掴み、抜こうと藻掻くが痛みが酷くなるばかりだ。
ここから抜け出さなければ…と焦りが募り傷口を拡げていることも気付かず、藻掻いた。
――無理に動こうとしたら、ダメだよ。
見かねた『少年』が僕に声をかける。
「じゃあ、どうすればいいんだ」
このまま身体のあっちこっちに穴を空けられたらたまったものじゃない。
――簡単な話。君が倒すんだよ。
「倒すっていったって、どうやって?!」
――『主』はすぐにボクの使い方を忘れるよね。 でも、もう知っているはずだよ?
魂っていうものは受け継がれていくものだから。
「何、いって……」
受け継がれる? 魂?
知ってるって何を、自分が知っているっていうんだ。
――君に貸した『チカラ』で目の前のものを突き刺してみて? ほら……。
僕の胸に手を翳し、集中してと言ったまま『少年』は黙ってしまった。
「だから、どうやって」
<オ前、サッキカラ誰二向カッテ、云ッテイル?>
どうやってこの状態から抜けだせれるのか。
今にも黒い蜘蛛は僕の息の根を止めようするかもしれないのに。
『少年』に聞き返そうとしたが『蜘蛛』に遮られた。
<モシヤ、アイツカ? アイツト話シテイルノカ?>
『蜘蛛』は僕の顔を覗き込んでくる。
怯えと痛みで苦悩する自分の顔が八つの眼に映っていた。
<アノ忌々シイ…オ前モ、アノ愛オシイ子モ、呪ワレテ……アア……散々、ワタシノモノヲ壊シテ、憎イ、憎イ……>
ブツブツ、ブツブツと『蜘蛛』は恨み言を呟き、ヒステリックさを増していく。
眼球をギョロキョロと忙しなく動いている。
<オ前ノ顔ヲ見テイルダケデ、憎イ>
「ひっ」
一斉に。再び僕の姿を瞳で捕らえる。
<殺セ!>
「もういい、ガワだけ貰う」と吐き捨てると黒い蜘蛛へ命じた。
なぜ、自分は殺されなくてはいけないのか。
『蜘蛛』に母を奪われた挙げ句に死ねというのか。
自分が死んだら――…………。
どうして、こういう時って限って、シン兄ちゃんが出てくるんだよ。




