何故、笑う
*別視点です。
子守りすらできないのか。
役立たずが。
激昂したまま目の前にいる『分身体』の胴体を二つに引き裂いた。
自らの『糸』で編み出された肉体は、いとも簡単に解け、断面から縮れた『糸』が揺れている。
愛おしい子の身体を維持するため『分身体』には、見合った人間を連れてきてもらっていたが……。
意識を残すべきはなかったと、転がっている『分身体』を見下ろし、溜め息を吐いた。
あの愛おしい子と似た血をあったから、コイツだけは残しておいてみたが、失敗だった。
個人的な感情を持ち、必要以上に追い込み、腕を壊された挙げ句に逃げられてしまうとは………本当に役に立たない。
役に立たな無いのなら、捨ててしまおうか。
<オ前ハ、何ノタメニ 存在シテイルノカ分カッテイルノカ?>
忌々しく私のを睨む『分身体』に問いかけた。
<帰リタイノダロウ?>
隠すこともしない。恨みを籠められた眼に。
向ける相手は他にいるだろう、と嗤う。
あの愛おしい子の血と似た子を連れてくれば、その子の代わりに解放する、『分身体』に言った約束だ。
けれど、その約束はもう必要ないだろう。手に入ったのだから。
『分身体』に壊そうと手を伸ばす。
びくり、と跳ねる首に手をかけようとした時。
<アノ子ノ身二、何ガ……>
思わないものに邪魔をされ、愛オシイ子ノところへと駆け出した。
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許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない…………。
愛おしい子が眠る部屋と駆けつけた時、目に入ったのは顔が砕け、空になった愛おしい子の前に立つ一人の少年であった。
<近寄ルナッ!>
自分の気付いていない少年の背へと一気に詰め寄るとそのまま横に払い除けた。
<ワタシノ愛オシイ子。大事二、大事二シテイタノニ……>
深い哀しみと激しい喪失感が胸の奥から濁流となって私の思考を埋め尽くす。
その中で愛おしい子を壊した人間を『糸』で絡めとっていた。
逃がすものかと哀しみの中で無意識に動くものを捕まえていた。
やがて、哀しみから恨みに変容し、矛先をそいつに向けるのは自然なこと。
宙に足を浮かせた人間の元に近寄る。
どう償って貰おうか………。
<同ジヨウニ、オ前ノ顔モ壊シテヤロウカ?>
愛おしい子と似た血をもっていようが、憎いものは憎い。
顔を下に伏せる人間が今、どんな顔を曝しているのだろうか。顔を覗き込む。
お前…………
何故、笑うんだ?




