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光夜叉  作者: ソラネ
第四章
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似せる意味

※今月、四回目の更新です。



「えー……色々あったんで現在の状況確認をしたいと思います」


 日曜日の休日。

スバルが住むアパートに男四人が集まっていた。


「俺ら隠し事がありすぎや。少し腹割って話さないと疑心暗鬼になりそうや」

「…密告者(スパイ)に向いてないのによく選ばれたな」

「しゃーねぇやろ。ヒカルと同い年なの俺くらいしかおらんかったんや」


 シン兄ちゃんの指摘にされ、スバルは苦笑を溢した。

僕の動向を本家…織部先生に報告している間、ずっと辛かったと言葉を漏らす。


「今はある程度ボカして報告しとる。今のところヒカルの中におる『鬼』は大人しいしな」


 僕に打ち明けてからスバルは本家からの命令に逆らおうとした。

だが、それを制止したのはシン兄ちゃんだった。


今、スバルが僕の監視役を辞めたら別の人が監視役に回される。

次に僕を監視を任されるのは織部先生になる可能性だってある。


だったら、このままスバルに監視をさせ、本家への報告を継続した方がいいと判断した。


アヤカシの疑いのある織部先生に監視されるのは、まずいと思う。


「まずは『鬼』に取られた姫川の記憶を取り戻す方法を考えよう」

「さすが今世の記憶がないと不便なのよねぇ」


 美少女じゃない姫川の姿は、まだ見慣れない。

黒縁メガネで地味な装いもそうだが、男子学生服……男であるということに違和感が拭えない。


姫川と目が合い、微笑みを向けれた。気まずい………。


「でも、ムリをしてまで取り戻そうとしなくていいわ。相手は『鬼』だもの。危険なことさせられない」

「といっても、この町に潜んでいる以上、遭遇する可能性があるぞ。結界があるから外に出られないんだ。

そもそもなんで姫川 水樹の方の記憶を取ったんだ?」

「そうね。どっちでも良かったかもしれないけれど……。

忘れてほしくなかったんでしょうね。(エンジュ)のことを」


 姫川が槐の名前を口にした瞬間、身体の奥からカッと沸き上がる憎悪。


――アイツだ。アイツに違いない。


 光夜叉(コウヤシャ)の声だ。

怒りと憎しみがこもったとても低い声だった。


「ヒカル」


 シン兄ちゃんの呼掛けに我に返る。


「ごめん、大丈夫だよ。続けて」


 手で目許を隠しながら三人には話を続けるよう促した。

きっと今、僕の()は紅い。

僕の中で鳴りを潜めていた光夜叉が『鬼』として表に出ようとしていた。


(静かになったけど……会話を聴いてるんだね)


「姿も声も完全に槐に化けたいんでしょう」

「槐という人に化けてどうしたいんだ?」

「分かりません。あの『鬼』にとってはただの遊びかもしれない。

けれど、あの日、槐と似た『鬼』を追いかけ、捕まりました。姿だけは友人に似ていました」

「槐を知っている……」

「槐ってお前やヒカル達、前世の……人やろ」

「その『鬼』は、千年以上前から存在しているんでしょうね」


 前世で縁のあるアヤカシ。

それって偶然なのか。姫川の前に姿を現すのは……。

そもそも、どうして槐の姿であったのか。

見つけて欲しかった。誰に?


「……誰かを捜してる」


 目許から手を退かすと三人が僕を見ていた。


「どうして、ヒカルはそう思ったの?」

「槐の姿になる意味ってなんだろうなと考えたらそう思ったんだ」


 シン兄ちゃんの質問を返す。

特に理由はない。ただそう思っただけだ。


「槐の姿を囮にし、誰かを捕まえようとしてるか」

「さしずめ、あたしは撒き餌ということね。だから月読(あたし)ではなく今世の方を……」

「ちょい待ち。槐って千年前のお人やろ? やったら、捜してる相手って前世の記憶持ちか、千年以上生きとるモンになる。

千年以上前から生きとる化けモンはさておき。捜してる相手、かなり限定できるんじゃないか?」


 再び三人が僕の方を見る。


「え……なに?」


 さっきは自分の発言で三人は僕の方を見てきたけど今度はよく分からず戸惑う。


「ヒカル……。ヒカルのお父さんは出てったみたいだけど。もうしばらくウチに居ようか」

「わ、悪いからいいよ。普通に帰るよ」

「ヒカル、お前一人にならん方がええと思うぞ。先輩に甘えとき」

「スバルまで急に…なに……」

「ヒカルさんがよろしければ、あたし、泊まりにいっていいですか?」

「え~っと………」

「お前はダメや。また狙われたらどないすんねん!」


 みんなの言動の意味が分からず、シン兄ちゃんにあらためて「どういうこと?」と目配せした。


「『鬼』が捜してる相手はヒカルかもしれないんだ」

「え、僕…?」

「現代で槐を知っているのはヒカル……おそらく君しかいない。

記憶を奪われたとはいえ姫川は解放された。次は君が狙われる可能性がある。一人でいるのは危ないかもしれない」

「でも……」


 父が家にいた間、ずっとシン兄ちゃんの家にお邪魔していたのでさすがに迷惑だろうと思い、断ろうとした。


「俺の家に来るのに気が引けるんだったら俺がヒカルの家に泊まりに行ってもいい?」


 僕が断る前にすかさずシン兄ちゃんは別の提案をし、スバルと姫川もその提案を後押しした。


こうして、今度はシン兄ちゃんが僕の家にしばらく泊まることになったのだった。


このお話を読んでくださり、ありがとうございます。


ただただ長編というもの、中学生の頃に想像したお話を書きたい……それだけで下手くそなりに書いてます。

小説が好きな読書の皆様にとっては、読みづらい、分かりにくい、矛盾してる等の怒りや不愉快だらけだと思います。

それでも、無視していただけて本当にありがたいです。

読者様の優しさに感謝いたします。

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