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光夜叉  作者: ソラネ
第四章
100/128

もうひとりの鬼

※三人称視点です。



 (織部先生があやかし……)


 人間にしか見えない。

だが、『獣』のように何らかの方法で化けているとしたら? たとえば、人の皮を…………。


 嫌な想像を膨らませ、青ざめた僕をシン兄ちゃんは「ヒカル」と優しく呼び、肩に寄せられる。


少しだけ落ち着きが戻り、スバルをあらためて向いた僕を確認したシン兄ちゃんは言う。


「それが理由か」

「ああ、そうや。本家は織部を信用している。アイツからしか本家と連絡ができないのがその証拠や」


 本家の中に人間以外の者が混じっている。

本家を信用をなくすには十分だったとスバルは僕たちに話した。





 帰り道。シン兄ちゃんと二人で学校から日の暮れた道を歩いていた。


「ヒカル、よかったのか?」

「うん。スバルが悪いというわけではないから」


 空き教室で『理由』を打ち明けられた後、再び「俺はお前にひどいことをした。許してほしいとはいえないが謝らせてほしい」と謝られた。


「やっぱり避けられるのは寂しいというか、辛いというか」


 スバルに僕は「前みたいに仲良くしてほしい」と言った。


「僕なんかじゃ嫌かもしれないけど友達でいてほしいんだ」

「そうか。ヒカルがそう望むなら……」


 シン兄ちゃんはポンポンと僕の頭を撫でた。

僕は嬉しくなってシン兄ちゃんを見上げた。



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―




 午前十二時頃。

小さな公園で東條(トウジョウ) 慎一郎(シンイチロウ)は、自分を呼び出した人を見つけた。


「あまり自分の力を過信するな」


 月の出ない夜ほど闇に足を掬われやすい。

そう知っているからこそ、最初に注意する言葉を東條は吐いてしまう。


「あはは、すみません、センパイ。

……ところでヒカルには何も()っとらんですよね?」

「あぁ、黙って出てきた」


 「そうか、よかったわ」と久瀬(クゼ) (スバル)はフッと表情を緩め、吐息を漏らした。


「で、またヒカルに隠し事をして俺だけを呼んだ理由はなんだ?」

「そのことで相談なんですよ」

「そんな夜中に呼び出してか?」

「ええ、そうです。動揺させたくなかったんで」


 久瀬は話す。

姫川はみつかったという話には続きがあると。


「姫川は無事にみつかったよ。肉体の方はね」

「どういう意味だ?」

「中身は別人やった。『姫川(ヒメカワ) 水樹(ミズキ)』ではなかったんや。戻ってきたミズキには前世の記憶しかなかった」


 その状態でヒカルと会わせていいか、と久瀬は東條に訊いた。それが相談だった。


「俺と…直接会わせてほしい。会えるか?」

「今、病院に入院してるから明日お見舞いに行くか?」


 姫川の家族に詳細を話せないということで。

二人で話し合い、いったん記憶喪失という(てい)で姫川は警察に保護され、現在は病院に検査入院している。

身元が判明できてるため、家族にも連絡がいっているらしかった。


「そもそも、なんで前世の記憶しかないのか」


 東條の言葉に久瀬は。


「『鬼』と会ったらしい」


 姫川から聞いた詳細を思い返しながら言った。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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