➀勇者召喚_テンプレ展開は続かない_
書きたくなって書いた作品第三号。
無計画とか言ってはいけない。
今回の視点は勇者一号です。
◇◇◇◇
俺・・・高槻刃弥は、幼馴染の亮、美奈、海と一緒に下校していた。
今日は亮の家に皆で遊びに行くはず・・・だったんだけど。
突如俺達の足元に、ソレは現れた。
いや、むしろ無くなったと言った方がいいかもしれない。
俺達の足元の地面が、突然消えた。
全員が悲鳴を上げながらそのまま落ちて行ったんだが・・・これはどういうことだ?
今、俺たちは石畳の床の上にいる。
どうやら前のめりに倒れた姿勢だったようで、起き上がる時に地面に描かれた文様と側にあった石の台座のようなものが目に入った。
そして・・・目の前には・・・
――うん、この人絶対お姫様だ
一目でそう思ってしまうほどに気品に満ち溢れ、それでいてどこか儚げな少女が目の前にいた。
ヤバいめっちゃ可愛い。
完全にフリーズした俺に首を傾げるお姫様(暫定)。
やばいよ。可愛さが増したんだけど。
俺を悶死させる気なんですね分かります。
「あ、あの、大丈夫ですか・・・?」
そう言って若干オロオロしながら声をかけてくるお姫様。
俺は思った。
―――ああ、ここ絶対異世界だわ―――
俺は普段から小説を読むのが趣味だった。
その手のラノベは網羅していたと言っても過言ではない。
だからこそ、思うんだ。
――――この可愛さは異次元のモノです。絶対―――
そんなことを考えているとなぜかお姫様が一歩後退った。
あれ?やっべもしかして顔に出てた?
ヤバいヤバいヤバい俺の精神HPガッリガリ削られていくんだけど!!
アカンさっきとは別の感じで死にそう!!!!
というか死にたくなってきた。
アレ?俺って何で生きてるんだっけ・・・アハハハー
気づいたら地面に腰を下ろした幼馴染三人が俺を見ていた。
どうやらお姫様以外目に入っていなかったらしい・・・
そして三人とも引いた顔をしていた。
俺の精神HPがマイナスへと到達しもうした。
「刃弥・・・なんて顔してるの」
「刃弥君・・・キモいです」
「その顔はないわー・・・」
脳内アナウンス:刃弥のメンタルHPがマイナス10000へと到達しました
そんなアナウンスが聞こえてきてもおかしくないと思うんだ。
「あ、あのー、説明・・・してもよろしいでしょうか」
「あ、ハイ。すいませんでした存在していて」
「そんざっ!?いや、えーと、あの・・・大丈夫、ですよ・・・?」
お姫様、暴漢に襲われてる女の子みたいな顔で言っても説得力はありませんよ・・・
「まぁ、刃弥の気色悪さはどうでもいいわ。これは・・・どういう状況?」
やっべ完全に状況忘れてたわ
「だよな・・・そこからだろ、やっぱ」
「ですよね・・・もしかして異世界とか・・・?アハハ」
冗談っぽく幼馴染の女の子――海が呟く。
「えっと・・・そのー・・・」
「「「「・・・・・・」」」」
その反応で四人ともが察した。
あ、コレ図星だわ・・・と。
そしてこの時、俺は学んだ。
堂々と「あなたをこの世界に召喚しました!!」とか言われるより、冗談交じりで「ここって異世界ですかー?」とか聞いて困った表情になってる方が説得力があることに・・・!!
「つまり・・・俺達に魔王を倒せ、と?」
冗談交じりの質問。
まぁ、さすがにね?そんなラノベのテンプレみたいな展開はね!ないと思うんだけど!
「えっ、なんで分かるんですか・・・?」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
辺りは静寂に包まれた。
そして悟った。「あ、これテンプレだわ・・・」と。
その時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「レイリー様!!ご無事ですか!??」
扉が開ききるよりも先に飛び込んできたのは所謂女騎士。
大丈夫かなこの人・・・オークに捕まったりしない?
というか、今いる場所が岩を組んで出来た壁に覆われた部屋であることに、たった今気づいた。
メンタルHP減りすぎて視界が狭まっていたようだ・・・不覚!
決してお姫様の美しい顔をガン見していたからじゃない。
「・・・無事召喚されたようですね・・・」
女騎士がふぅ、と息を吐く。
安堵の表情を浮かべる女騎士にとりあえず質問。
「すいません、今までオークに捕まったことってありますか?」
「「「「「ハァ?」」」」」
返ってきた反応は呆れ、こいつ何言ってんの?馬鹿なの?死ぬの?、半ギレ、といくつもの感情が入り混じっていた。
すいません聞いた俺が間違ってました。
「真面目な話、ここってどこなんですか?」
「・・・ここはあなた達がいた世界とは別の、ルガンディアという世界です。まず、突然勝手にお呼びしたこと、お詫びいたします。本当に申し訳ありません」
そう言ってお姫様は頭を下げていた。
女騎士が「レイリー様・・・」と呟いているのが聞こえた。
レイリーっていうのか・・・勝手に呼び捨てにしたら怒られるかな・・・
ちなみに俺は勝手に召喚されたことはどうでもよくなっていた。
っつーかこんな美人日本では会えなかったからな・・・
召喚してくれてマジ感謝ですよハイ
「とりあえず、魔王を倒すために俺達を呼んだ、ってことでいいんだよな?」
そう聞いたのはマイベストフレンド、亮だ。
「はい・・・詳しい話は、父が説明します。とりあえず付いてきていただけませんか?」
「父・・・もしかして王様ですか?」
その質問は美奈から出たものだった。
しかし、レイリー姫?はそれを否定した。
あれ?この展開なら召喚したのは王女様、とかそういうことかと思ったんだけど。
レイリーさんは妾の子、とかそういう?
「私の父は、ここ――レイロード帝国の皇帝です」
ワンランク上でしたわ
◇◇◇◇
主人公が一話目には登場していないというね。
これからのお楽しみってことで(/ω\)