現実逃避
「また逃げるの?」
その言葉にぐぅの音もでないぼくは、ただ逃げるしかなかった…逃げて逃げて逃げた先にあるのは何なのか
「やっぱりぼくにはこれしかない」
そう呟いた青年は、顔がボサボサの黒髪に隠されていて猫背の根暗感満載だが、身なりを整えればそれなりのイケメンになりそうな顔立ちだった。青年がゲーム機を起動させると、僅か数秒のロードのあと“ファントムワールド”と可愛いらしく、ファンタジーっぽい文字が出てきた。
「ゲームスタートだ!」
ポチッとな
ぼくとファントムワールドの出会いは一年前にさかのぼる。高校一年生の当時もぼく…赤池優樹はクラスの中心的存在の3人組にいじめられていた。理由は至極単純。
「なんかお前ウザイ」
…だそうだ。心のなかで、ぼくは積極的でしっかり反論できる。しかし、いざ人間を前にすると何も言えなくなってしまうのだ。だから、人と面と向かって向き合わなくてすむゲームに手を伸ばし、のめり込んでいくのは自然なことだった。それから学校にも一週間に1度行けば良い方で、月に一回しか行かないときもあった。そう、ぼくは現実から逃げる方法でしか自分を守れなかったのだ。
これからよろしくお願いします!