2.朝の出来事
おはようございます。ただいま朝の6時半です。そして今上原名来はピンチです。なんせ…
「兄貴、早く起きろよ。みんな出るぞ。」
弟に叩き起こされてるからだ。
嫌だ、ゆっくり寝たい。早くどこか行きたまえ弟よ。とりあえず言い訳しねーと。
「んー、俺学校の門8時45分までにくぐればセーフなんだって。そんで家から学校まで約10分でつく。余裕なんだって。寝させろ。」
「爺ちゃんに怒られても知らねーからな。」
「大丈夫、ほれ朝練行ってこい。気を付けてな」
弟の秋を適当に行かせれば再度名来は眠りにつこうと布団を被る。んな早い時間から起きて暇するとか御免だ。
「あ、爺ちゃん!兄貴俺が何言っても起きようとしないんだ、それじゃあ後はよろしくね!いってきまーす!」
「あーもうわかった!はいはい起きましたよ!」
爺ちゃんに起されるとかもっと無理。あの人まじ年寄りのくせにデコピンうまいんだよな、そんで痛い。
それにしてもせっかく後2時間は寝れたのに…少しはゆっくりさせろよな。
「名来起きるの遅いぞ。夜中までケータイでもつついておったのか?」
「ん、おはよ爺ちゃん。まあ昨日久しぶりに姉ちゃんと話してた。」
「朱音か、なんじゃ元気にしとったか?」
「うん、子育てが大変って言ってたよ。今度かなと大介さんと一緒にうち来るって。」
爺ちゃんかな好きだからな。あ、かなって言うのは哉太っていう姉ちゃんの子供。3ヶ月前に産まれた男。
「そうか、なら婆さんに頼んでごちそう作って貰わんとなぁ…」
「うん。あ、婆ちゃんおはよ」
「おはよう名来。学校はまだいかんでええの?」
「まだ時間あるよ。あ、そういえば昨日言い忘れてたけど今日から弁当いるからよろしくね。今日は買っていく」
「作っておいたから大丈夫じゃよ、今お茶持ってくるからね。」
「ありがとう婆ちゃん。」
遅いと思うけど俺の家は爺ちゃんと婆ちゃん、そんで俺と秋で今暮らしている。親は離婚して親父についていくことになったけどその親父は何らかの理由で亡くなったらしい。全部俺がちっさいガキの頃の話だからもちろん覚えてない。
兄貴は他県で野球するために寮に入ってる。兄貴は今年で3年だから今年の夏で終わりだ。
「よし、まだ学校までに時間すげーあるし店手伝うよ。つかそろそろバイト募集すれば?俺も早く帰るわけじゃねーし、爺ちゃんに何かあったら大変だろ。」
「それもそうじゃな…婆さん、どう思う?」
「わたしは名来の意見に賛成じゃよ。爺さんもいい歳なんだからそろそろ若いもんの助けも必要じゃろ。」
「取り敢えずチラシみたいなん作って貼れば誰か来るっしょ。」
そうのんきに話をしながら店の手伝いをしていった。手伝いをすればあっという間に8時20分になっていた。
「じゃ俺そろそろ学校行ってくる。今日は多分早く帰れるから、んじゃ行ってきまーす。」
そう言いながら学ランにを羽織り家を出る。
「はいはい、気を付けて行ってらっしゃい。」
「眠いな。あ、菅田はよ。」
「お、上原はよ!聞いてくれよ、実はな…」
まあこいつの聞いてくれよは大体彼女関係だから右から左に流せばいつの間にか終わってる。リア充め、ちくしょう。
「あ、上原くんだ!おはよ上原くん!」
「…どーも。」
あの人誰だっけ、なんか昨日も挨拶された気がする。あ、あの人も。俺ってほんと人の顔と名前覚えるの苦手だよな。特に女子。
「おい上原、もっと愛想よくしろよー。」
「愛想振りまいてたらいつか痛い目みるぞー。ってなんか教室の外人が多いな。」
なんの騒ぎだよ朝っぱらから。
「あ、来た。あれが上原名来っすよ、昨日すげー投げてた一年坊。」
「…お前が上原名来か。」
「…誰っすか。」
「おい上原、上履き緑だし相手先輩だぞ!」
いやいやほんとに誰だよ。
「俺は陸上部投擲キャプテンの山崎尽だ。お前だな昨日遠投ですごい距離投げたのは。誤魔化しても無駄だ、俺は見た。」
「はぁ…そんでそれが何か。」
「お前に決闘を申し込む。そう、お前のせいで俺の栄光なる記録が霞む。なら正々堂々と勝負をとな。」
はっきり言って興味も何もないし俺なんも悪くねーじゃん。
つか朝から呼び出しとか…まあ別に構わねーけど。
「いいっすよ、その勝負受けて立ちましょう。」
「…面白い、では今日の放課後グラウンドに来い。」
って言っても俺投擲とかしたことないんだけど、まあどうにかなる…かな?