表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

しめじ三郎 幻想奇談シリーズ

しめじ三郎 幻想奇談〜墓参り〜(888文字小説)

作者: しめじ三郎

勝手に登場人物に設定した一部の方々に心よりお詫び申し上げますm(_ _)m

 卓司は中学一年。小学二年の時、幼稚園からの親友の亮輔が交通事故で亡くなった。下校時に二人でふざけ合っていて、亮輔が舗道の縁石に躓いた。そこへトラックが走ってきたのだ。卓司は、

「僕のせいだ」

 そう思い続けており、五年経った今でも、怖くて亮輔の墓参りに行けないでいる。

 そんなある日、卓司は思わぬ再会をした。一年の時から片思いをしていた繭子にばったり会ったのだ。繭子が五年の時に転校して以来だった。

(あの時も可愛かったけど、今はもっと可愛い!)

 卓司は薄れかけていた繭子への思いが沸き上がるのを感じた。

「久しぶりね、たっくん」

 昔と同じ呼び方をしてくれた繭子に、卓司はキュンとしてしまった。

「亮ちゃんのお墓参りに行くところなんだけど、一緒に行く?」

 繭子に誘われて、卓司は一瞬気後れしたが、

「行かないの?」

 繭子に小首を傾げられて言われると、

「行こう!」

 妙な義務感に駆られ、決断した。


 憧れの繭子と二人で亮輔の墓に向かった卓司だったが、何を話したのか、どこを通ったのかもわからない程舞い上がってしまい、気づくと亮輔の墓の前にいた。

「亮ちゃん、ごめん」

 卓司は止め処なく流れる涙を拭う事なく手を合わせた。

「よかった、亮ちゃんとたっくんが会えて」

 繭子の声が聞こえた。

「え?」

 卓司は繭子を見た。繭子は笑顔で卓司を見ている。

「私もたっくんに会えてよかったよ」

 そこまで言われて、卓司はようやく全てを思い出し始めた。

「そうだよ、たっくん。亮ちゃんが交通事故に遭ったのは、私のせい。私が亮ちゃんを突き飛ばしたの」

 繭子は嬉しそうな顔をしている。

「そうだ、そうだった」

 卓司は膝が震えて逃げ出す事ができない。繭子はニヤリとして卓司に顔を近づけ、

「それだけじゃないよね? もっと大事な事を覚えていないの?」

 卓司は繭子の顔に圧倒され、尻餅を突いてしまった。ふと見上げると、繭子の手が血だらけになっていた。

「うわああ!」

 卓司は転がるようにその場を逃げ出し、道路に飛び出してトラックに跳ね飛ばされ、

(そうだ。それから何年も経って、繭子が亮ちゃんを殺したって知って、僕は……)

 繭子を突き飛ばして交通事故に遭わせたのを思い出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ひえ〜〜(ノ)ºДº(ヾ)〜〜っ!!!!! たっくんは悪くない悪くない悪くない……。
[一言] ご無沙汰しております。拝読いたしました。 ガチホラー、雰囲気ありありです。 さすがはしめじさん。 いつもドキドキしてます、このシリーズ。
[一言] 怖っ! 繭子と亮輔の間に何があったのか…。 そして、卓司…。 三角関係のもつれだろうか…。 亮輔と卓司が深い仲だったのですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ