教えてチャラエロ先生!
ようやく勇者でた。
チャラエロ先生の名前はガードナーと言う。
女性問題で騎士団を退団させられたという筋金入りの女好きだ。
これこそわたし、いやオレが目指す男の中の男!
※スマートに女性を口説けずしてなんのための男か!
(※男らしいの意味をはき違えています)
「かわいいね。彼女。ひとり?」
なるほど、女の子にはそうやって挨拶するのか。
「アンジー。君の瞳は晴れた日の泉のように美しいね」
なるほど、そうやって人の良い所をさりげなく褒めるんだな。
「スザンヌ。会いたかったよ。オレの心の高まりがわかるかい?」
ふんふん。オープンハートする事で相手からも一歩こちらに踏み込んでもらえるのだな。
「イーリア。俺の天使。君に逢えない夜は夜明けが遠い。」
なるほど、たまに弱みを見せて相手から譲歩を引き出すと。
チャラエロ先生は本当にすごいな。
毎日勉強になる事ばかりだ。
「ガードナー、かわいい子連れてるじゃなぁい。その子だぁれ?」
チャラエロ先生に師事してから、年上のおねぇさん達に可愛がられるという特典も加わった。
役得である。
さて、チャラエロ先生は町の男子どもとも交流する事もオレに課した。
同性ともいい関係を保っていないと足元を救われると諭されたのだ。
さすが女性関係で騎士団を退団させられた事だけはある。深い。
そういえば前世でも新入社員の隠れビッチが、同性と良好な関係があったために二股がばれても、総スカンを食う事もなくのうのうと会社に留まり続けた事があったな。
「どっちも好きで困っちゃう」
「真愛がイイコすぎるから皆に好かれちゃうんだもん。仕方ないよね」
「どっちの人もいい人すぎて選べないよね。無理ないよ」
給湯室でこれらのやり取りを聞いた時は今すぐ死んでくれないかな???と真っ黒な気持ちになったのも懐かしい。
断じて先生が女性と逢引きするのにオレが邪魔だった訳ではないと思いたい。
同性と良好な関係を築くこと。性別が変わってもそれは変わらない事に違いない。
しかし思い切って同じ年齢の男子の集団に入って見るとまるで同じ世界軸に住んでいる人類だと思えなかった。
「なぁなぁ。赤髷騎士団と黒翼騎士団が決闘したらどっちが強いと思う?」
「俺のドラゴンのがぜったい強い!(※土くれで作った泥人形であるようだ)」
「バン!黄尾騎士団に10のダメージ!」
「じゃあ、かじ屋のジムおじさんと門番のビリーどっちが強い?」
「『ごおおおおお!』ドラゴンが炎を吐いた!お前は終わりだー!」
「おれのおとうが「おっかぁ」が一番怖いって言ってた!」
「ばかいうなよオレのねーちゃんのが怖いぞ」
「『ぐぬうううう』魔道師が状態異常になった。ステータスにマイナス補正!」
「ねーちゃんのパンツかぶったらめちゃくちゃ怒った!ぐーで殴られた!」
「パンツ?なぁなぁ「パン、作った」って言ってみ?」
「パンつくった?」
「ぎゃははは!こいつパンツ食ったって!!!」
「魔道師は呪文を唱えている。ドラゴンはブレス準備だ!」
「パンツ食えるのかよーーー!ぎゃははは!」
「『作った』って言ったろ!こいつわざと言わせたな!まてぇぇぇぇ!」
「きゃーっはっは『パンツ食った』『パンツ食った』!」
「てめぇぇぇぇ!待て!こら!ねぇちゃんのパンツかぶらせるぞ!ぐーで殴られろ!待てぇぇぇ」
「黄尾騎士団の総攻撃だー!!!待てぇぇぇ!」
…このテンションにどうやってついて行けと?
オレは頭を抱えた。
しかし辛抱強く、男友達とつるんでいると見えてくるものもある。
特にアルトという少年は他の少年たちとは少し違った。
喧嘩をさせるとめっぽう強いのだ。下手をすると鍛錬をしているオレより強いかもしれない。
一度どうしてそんなに強いのかと聞いた事があった。
「弱点が見えるんだ…。人間のどこを突いたら壊れるか常に考えているからね」
オレはひいた!全力でひいた!
こいつオレの前世の世界とかに生まれてたら絶対危ない奴や!
オレがぶるったのを見て、奴はもっとオブラートにつつんだ言い方をするようになったからオレはいい仕事をしたといえる。
「なんとなく、弱点が見えるんだよ」
それ以降、彼はそんな言い方をするようになった。
常に相手のどこを突いたら壊れるのか考えている男アルト。
その事実はオレしか知らない。
乱世が来たらさぞかし彼は活躍するのではないだろうかと何となく予感めいた物をオレは覚えた。